銘板に刻まれた姉の名を見た瞬間、涙があふれ出した。神戸市中央区の東遊園地。井口千恵さん(92)=同市東灘区=は三女の富紀子さん(58)と訪れ、3歳年上の姉、浅野福恵さん=当時(64)=をしのんだ。
阪神・淡路大震災当時、井口さんは愛媛県在住。神戸に暮らす富紀子さんや親戚は無事だったが、兵庫県西宮市南昭和町に住んでいた福恵さんだけ連絡がつかなかった。
愛媛から駆けつけると、2階建ての住宅は全壊していた。息子が帰省していて、その日だけ1階で寝ていた福恵さんは梁の下敷きになった。
「学校の先生には『お姉さんに勉強を教えてもらえ』と、しょっちゅう言われました」。福恵さんは成績優秀で、習字も上手だったという。いつも比較され、子どもの頃は疎ましく思うこともあったけれど、自慢の姉だった。
震災後、人混みの中に姉の姿を見たような気がしたことがある。「会いたい」という思いは募り、たびたび東遊園地を訪れる。
「私は元気やからね、って伝えたいのに。姉はいないの」。涙が止まらず、「もう、だめね」とそっと目に手をやった。(真鍋 愛)























