院内での不在者投票に備え、手順を確認する職員ら=洲本市塩屋1、兵庫県立淡路医療センター
院内での不在者投票に備え、手順を確認する職員ら=洲本市塩屋1、兵庫県立淡路医療センター

 8日の衆院選投開票日を前に、兵庫県内の基幹病院などが5日、入院患者の不在者投票をした。高市早苗首相は昨年の所信表明演説で経営難の医療機関などへの支援を「待ったなし」としたが、今回の選挙では各党が社会保険料の軽減をアピールし、財源確保に不透明感も漂う。入院する有権者は「安心して医療を受けられるようにしてほしい」と切実な声を上げる。

 今回の選挙で、各党は物価や人件費の高騰に苦しむ医療・介護現場への支援を重視しつつも、その主な財源である社会保険料は現役世代の重い負担になっているとして軽減を訴える。

 新たな財源が課題となる中、政府は2026年度予算案で、医療費の自己負担を抑える「高額療養費制度」を見直し、負担上限額を所得に応じて引き上げるとしている。厚生労働省も、市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」に、来春から追加負担を求める方針だ。

 選挙権を保障するため、特定の施設内では「不在者投票」の制度を活用できる。県選挙管理委員会によると、県内の指定施設は、病院・介護老人保健施設=474▽老人ホーム=709▽身体障害者支援施設・保護施設=43▽救護施設・更生施設=1-の計1227施設。24年の前回衆院選では、神戸市民だけでも5330人が投票した。

 神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)では、入院患者13人が希望した。職員が患者ごとの投票用紙を7カ所の選管へ事前に請求し、5日は投票箱を抱えて病室をまわった。患者は、ベッドの上で投票用紙に書き込み、自ら二重に封筒に入れて投票した。職員が各選管に郵送するという。洲本市の兵庫県立淡路医療センターでも同日、院内に設置した投票場所で56人が票を投じた。

 同センターに腸閉塞で約1カ月入院していた女性(85)は「年金生活で収入に限りがある中、高額療養費の負担増は不安。安心して医療を受けられる社会をしっかり考える候補に入れたい」と話していた。

 神戸市須磨区の介護施設「ケアハウス須磨浦の里みち」では、入居者26人が4日に投票した。坂口恵介施設長は「事前に希望しても、体調などで投票用紙を前に書けなくなる人が毎回いる。それでも入居者が、自宅と同じように社会生活を続けている実感を得られる投票は意義が大きい」と話した。(霍見真一郎)