「本当にあったんよ」。穏やかで口数の少ない父が長崎での被爆体験を口にしたのは、50年近く前の一度きりだった。元中学校教員で被爆2世の中西利香さん(66)=神戸市垂水区=は今もその姿を思い出す。父は何を見たのか、何を言いたかったのか。そして自分は何を伝えられるのか。悔いと覚悟を胸に9日、長崎市の平和公園で行われる原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に初めて出席する。(広畑千春)
2012年8月に87歳で亡くなった中西さんの父、末永卓司さんは神戸高等商船学校(後の神戸商船大、現神戸大海洋政策科学部)に在学中、出征前訓練で長崎市の三菱の造船所にいた時に被爆したという。けがはなく、戦後は客船やタンカーの機関長として世界中を航海したが、中西さんら2人の娘に原爆について語ることはなかった。
























