上流(奥)からの濁流に襲われたヌワコト郡の集落。土砂の下にも建物が埋まっているという(CODE海外災害援助市民センター提供)
上流(奥)からの濁流に襲われたヌワコト郡の集落。土砂の下にも建物が埋まっているという(CODE海外災害援助市民センター提供)

 大規模な土石流と洪水の被害を受けたネパールに9月、神戸市兵庫区のNPO法人「CODE海外災害援助市民センター」事務局長の吉椿雅道さん(58)らが調査に入った。川沿いの集落は建物が土砂に埋まったままで、家族の死を知らされていない子どもが避難所で遊ぶ姿もあった。「復旧に何年かかるのか。家族を亡くした被災者の心のケアも必要だ」。吉椿さんは神妙な面持ちで語る。(田中宏樹)

 土石流は8月26日、ネパールと中国チベット自治区の国境付近で発生。地球温暖化に伴う氷河崩落が原因と指摘される。両国の死者は計約1400人、行方不明者は少なくとも約6600人に上る。

 吉椿さんは9月8日から1週間、ネパールに滞在。首都カトマンズの北西約40キロにあるヌワコト郡を訪れ、川沿いの集落の被災状況や避難所の現状などを確認した。CODEでインターンシップの経験がある神戸学院大4年の玉地紘樹さん(21)が同行した。

 中国との国境から約50キロ下流に位置し、甚大な被害を受けたトリシュリバザール地域。川の近くにある大学の3階建て校舎は土砂に埋まり、屋上しか見えなかった。発生当時は学生約800人が警察から上流の異変を知らされ、高台に逃げて無事だったという。

 今も同地域には捜索用の重機が入れず、上流へ向かう道は寸断されている。吉椿さんは「地域全体が泥や石に埋まっていた。上流にも集落はあるが、捜索や救助活動はどれほどできるのか」と案じる。