神戸新聞NEXT
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 1992年バルセロナ五輪、96年アトランタ五輪の2大会連続で女子マラソンのメダリストとなった有森裕子さんが、今年も神戸マラソンの大会ゲストとして登場する。新型コロナウイルス禍や不安定な国際情勢を受け、「スポーツは平和の象徴」と語る有森さん。神戸への思いや、ランナーへのエールを聞いた。(聞き手・末永陽子)

 -神戸マラソンには第1回から携わっています。

 「節目である10回目となった昨年は3年ぶりの開催でした。スタート地点でランナーたちは盛り上がっていましたね。復興の象徴ヒマワリをイメージした黄色い手袋が一斉に掲げられ、『しあわせ運べるように』が響く。何度聞いても大好きな歌ですが、流れてきた瞬間にじわっと感動が押し寄せました。ほかのマラソン大会でも、黄色い手袋を上げるランナーをよく見かけるようになりました。改めて良いアイデアだなと感じます」

 -今年は4年ぶりの通常開催です。

 「みんなマスクを取って、私も積極的にランナーの皆さんに声かけできる。通常の形に戻るのはうれしい。一方で、コロナ禍でオンラインを活用したスポーツの可能性も広がりました。オンラインにより、障害者がこれまで不可能だった大会に参加できるケースもあった。障害に関係なく楽しめたり、現地を訪れなくても参加できたり。そういう工夫も求められるのではないでしょうか。だれもが不安なく楽しめるのが本来のスポーツの形。マラソンが、そういった意識改革の糸口になればうれしいです」