阪神・淡路大震災時に国内外から寄せられた支援に対し、被災地から感謝の思いを伝える神戸マラソン。スタート時は復興の象徴ヒマワリをイメージしてランナーが着ける黄色い手袋がフラワーロードに咲き誇る。一方、フィニッシュ後のポートアイランドでは今年、当時の被災地を癒やしたジャズ演奏が鳴り響き、疲れたランナーの心身に心地良い音色を届ける。(大原篤也)
神戸マラソンでは、すっかりおなじみとなった光景だ。
号砲を待つランナーでぎっしりと埋め尽くされた神戸市役所前。スタートセレモニーでは阪神・淡路の犠牲者らに黙とうがささげられ、合唱曲「しあわせ運べるように」が流れる。
2011年の第1回大会から一貫して受け継がれるテーマは「感謝と友情」。阪神・淡路からの復興、そして現在に至るまでに「手を差し伸べていただいた国内外の人々や地域へ感謝の気持ち」を表明する-との思いが込められている。
「生まれ変わる/神戸のまちに/届けたい/わたしたちの歌」。犠牲者を追悼し、復興に向けて前を向く被災地の強い決意は、28年後の今も変わらない。
いよいよスタート。復興のシンボル、ヒマワリをイメージした黄色い手袋を着けたランナーが手を振りながら駆け出していく。上下左右に揺れる黄色いヒマワリが、今年もランナーたちの笑顔とともに42・195キロの長丁場の始まりを告げる。
■ゴールはジャズ演奏でお出迎え
ポートアイランドの「フィニッシュパーク」では午前10時から、ダンスや音楽で盛り上げるステージイベントが開催される。終盤には日本の「ジャズ発祥100周年」を記念した演奏が繰り広げられる。
1923(大正12)年4月、バイオリン奏者の井田一郎が結成した国内初のプロジャズバンド「ラフィング・スターズ」が神戸・旧居留地にあった当時のオリエンタルホテルなどでジャズを演奏したとされ、神戸は「日本ジャズ発祥の地」と呼ばれてきた。
神戸ジャズは今年で100周年。神戸マラソンとコラボしたステージでは、午後2時55分から「神戸ユースジャズオーケストラ」が登場。小学生から高校生までの若いメンバーが勢いのある演奏を披露する。
午後3時35分からは1982年に活動を始めた「甲南高校・中学校ブラスアンサンブル部」がノリノリの音色で完走者らを迎える。
ジャズもマラソンも日本の発祥の地は神戸。走り終えたランナーはぜひ、一緒にスイングを-。