25年ぶりの天皇杯出場を決め、肝付啓人さんの写真を手にするGK板敷洸大(前列右から2人目)ら甲南大イレブン=12日、洲本市のアスパ五色
25年ぶりの天皇杯出場を決め、肝付啓人さんの写真を手にするGK板敷洸大(前列右から2人目)ら甲南大イレブン=12日、洲本市のアスパ五色

 雨が降りしきる淡路島の空の下、地元出身の亡き仲間へ勝利をささげた。12日にサッカー天皇杯全日本選手権の兵庫県代表決定戦を制し、25年ぶり2度目の出場を決めた甲南大。快挙の陰に、Jリーグでの活躍を夢見ながら昨春、肺がんのため20歳で亡くなった背番号99の存在があった。

 洲本市出身のGK肝付啓人(ひろと)さん。中学時代はフレスカ神戸で活躍し、Jリーグ2部(J2)愛媛の下部組織に進んだ。2020年7月にはトップチーム登録を勝ち取った。

 1対1の強さや的確な指示、攻撃の起点となるキックに定評があり、翌21年春、甲南大にスポーツ推薦で入学。同年8月、チームのブログには「自分のミスや失敗を認め、それを糧にしてまた成長することが大切。仲間のミスを全てカバーしてあげる存在になりたい」とつづっていた。