サッカーの天皇杯全日本選手権は21日、4回戦8試合があり、J1のヴィッセル神戸は、三協フロンテア柏スタジアム(千葉県柏市)でJ1の柏レイソルと対戦し、佐々木のゴールで1-0で勝利した。神戸は3年連続の8強入り。
瞬く間に先手を打った。前半3分。神戸は岩波の自陣深くからのロングパスに、飯野がゴール前まで走り込んで折り返し。詰めていた佐々木が直接右足で流し込んだ。手数をかけない神戸らしい速攻を決め、流れを引き寄せた。
神戸は負傷の酒井と武藤、復帰直後の山口に加え、守護神の前川とエース大迫を温存。主軸5人がベンチにも不在でリーグ戦の前節から先発9人を入れ替えた。実戦での連係不足で不安な出足だったが、天皇杯2戦連続の先制ゴールが、チームに勇気をもたらした。
守っては、3カ月ぶりの公式戦出場となったベテランGK新井が立ちはだかった。前半の終盤には1対1で相手のシュートを阻止。後半には柏に得点源のマテウスサビオとパリ五輪代表の細谷を相次いで投入され、ピンチを招いたが、再三の好セーブでしのいだ。
神戸は残り10分を切ると、山川らを投入して最終ラインを5枚で固め、執念で逃げ切った。吉田監督が「出場機会の少ない選手が、J1相手にどれだけできるか楽しみ」と語った期待に選手たちが応えた。
この日は負傷していた汰木(ゆるき)が3カ月ぶりに公式戦に出場し、8年半ぶりに復帰した森岡も初めてベンチ入り。9月からのアジア王者を決める戦いに向け、明るい材料も増えた。一発勝負の舞台で、総力戦で大きな勝利をつかんだ。(井川朋宏)