兵庫県朝来市の多次勝昭市長(71)が13日、同市役所で開かれた定例記者会見で、今期限りで退任することを表明した。2009年の初当選から3期12年。決断した理由については「年齢は気力でカバーできるが、身体の変調は大きな迷惑をかけるかもしれない」と説明した。
会見では「リーダーには健康と気力、公平な目や礼節に長(た)けていることなどが必要」とした上で「健康の不安などを考慮して、自分に正直にあるべき」と思いを語った。
新型コロナウイルス感染症への継続的な対応の必要性に悩んだというが「職員の意識の中に市民生活重視の思いが確立されているので、(市長が代わっても)これまでと同様に対応できる」と強調した。
新年度予算は必要経費だけを盛り込む「骨格予算」とし、新規事業などは新市長の考えに委ねる方針。「コロナ後の新しい時代のかじ取りをお願いしたい」と託した。後継指名は「考えていない」とした。
12年前に初めて立候補した時の思いについては「今でも足がすくむほど、大それたことをした」と振り返り、市民や関係者への感謝を述べつつ「残りの任期も精いっぱい務める」と締めくくった。(竜門和諒)
