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公開討論会で登壇した中貝宗治氏(左)と関貫久仁郎氏=豊岡市民プラザ
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公開討論会で登壇した中貝宗治氏(左)と関貫久仁郎氏=豊岡市民プラザ

 豊岡市長選(18日告示、25日投開票)を前に、15日夜、立候補予定の現職の中貝宗治氏と元豊岡市議会議長の関貫久仁郎氏による公開討論会が同市内で開かれた。「令和3年豊岡市長選挙公開討論会実行委員会」(中奥俊明委員長)主催。ユーチューブチャンネル「studio tajima」で記録映像を閲覧できる。(石川 翠、阿部江利)

 詳細は以下の通り。

■質問

 【(1)好きな食べ物は】

 関貫氏 麺類が好き。日本人だからうどん。

 中貝氏 津居山のハタハタ。うどん、すし。後ろ二つは糖質制限に引っかかりそう。

 【(2)今一番してみたいこと】

 関貫氏 ホールインワン。一度経験がある。

 中貝氏 シルク温泉に入ってマッサージを受けて赤花そばを食べてのんびりしたい。

 【(3)○年後に豊岡はどんなまちになっているか】

 関貫氏 考えたことがないというと考えたことがないが、約10年後、2030年、全世界で動いている環境問題について取り組み、豊岡から実現できたらと思っている。市長になったら、環境のまち豊岡に向けてやっていきたい。

 中貝氏 10年後、コウノトリが空を悠然と舞い、城崎大橋は架け替わって2000メートルのコースができて世界的なボートの大会が行われて、中継はFMジャングル。ビールや地酒を飲みながら岩ガキを食べながら楽しんでいる。そして夜は演劇やダンスを楽しんでいる。会場は男女半々で若い人も障害がある人もそうでない人もみんなが暮らしを楽しんでいる。かばんも世界中で燦然と輝いている。ハンガーや新幹線の部品なども世界に通用する商品がでている。

■テーマ

 【(1)コロナ対策】

 中貝氏 敵の力は大きく、豊岡の撃てる弾は限られている。なのでコロナで本当に打撃を受けているところに集中的に支援しようということ。まちの感染予防力を高める。打撃を受けている方や産業への支援、子どもたちも打撃を受けた。まちに出るとアクリル板がいっぱいあるが、安心して店に行けるように市の補助で整備してもらった。

 シングルマザー、とりわけ低所得の子育て家庭が大きな打撃を受けていた。国と並んで市独自のさまざまな施策を行ってきた。産業では宿泊、飲食、土産物、かばん、公共交通、人の動きが止まったので大きな打撃を受けた。ステイ、イート、バイ豊岡の実施、公共交通機関への支援を行ってきた。周囲の産業の波及効果もある。子どもたちの心が晴れ晴れしてもらうようプレイ豊岡や演劇観賞などをした。関連予算127億円のうち、1世帯10万円給付の80億円を引いて、46億円。しっかりやってきた。企業や産業がどうなっているのかウオッチを続けている。

 今、心配事がでてきた。まん延防止措置で人の動きが止まり始めている。雇用調整助成金の申請が急増している。これは雇用を守るために、しかし働いてもらえないという状況。あるいは生活福祉資金の申請が増えている。明日の暮らしのために今お金を貸してほしいということが増えているということ。

 一つ追加。例えば信用保証協会の状況を見ていると、小さな建設業者、大工さんの仕事がないことが分かった。そこでリフォームの補助金を設けた。自宅を改修して仕事ができる、工務店の大工さんも仕事ができる。市民のイベントがなくなり、再開の支援金も設けた。

 関貫氏 シングルマザーの支援、当時困っている人を直接感じることがあったので、なんとか支援をしてほしいと市長に願い出て、5万円の寄付をしていただいた。

 一番は命、生活を守ること。専門家の意見を聞き、迅速にしていきたい。

 欠けている点は、適切な情報発信。国は感染経路や患者の状態などの説明などを正確に伝えるといっているが、豊岡市は○日に市在住の○人の感染者が出たというだけで、不安を募るばかり。身を守るための行動ができる情報を発信するべきだ。懸念されることは、風評被害も徹底的に防ぐために情報発信は必要だ。

 できることは早急にする。例えば、市は入札でたくさんの業者が庁舎に集まるが、それを電子入札に移行すべき。

 ステイ、イート豊岡などは貯金を切り崩して実施した。地方再生交付金を過分に頂いており、大変ありがたいことだが、しかし市内には多くの業種業態があり、制度にかからなかった企業への支援もしっかり実行したい。コロナ禍はいつまで続くか分からない。今年度は市はコロナ対策に全集中しなければいけない。

 内容は違うが、新文化会館に関わる予算は削って改めて正解だと確信している。ある自治体ではホールを整備することになっていたが、まちの財政がリーマン・ショック以上に悪化する恐れがあるとして整備する計画を断念。他にも野球場も見直して予算の執行を変えた。やるべきこと、待つべきこと、やめることを見極め、実施し、感染、経済、市民経済などコロナ対策に予算を全集中するべき」

■クロストークタイム

 関貫氏 コロナ対策は今後はどういうことをするのか。

 中貝氏 状況をウオッチしないといけない。信用保証協会、雇用調整助成金、求職求人の状況を見てここぞというところを選んでいく。かなり厳しい状況になる。その対策を今すぐにできないので、全庁挙げて状況の把握をして、対策を練っているところ。いま言うと議会から聞いてないといわれるので、議会のみなさんと相談して、場合によっては市長の判断で専決補正をしたい。

 情報発信については、県や福祉事務所から出ないので、市の独自ルートで知り得たことを発表している。

 IMF、国際通貨基金は世界や日本経済の見通しを上方修正した。他のシンクタンクも2021年はワクチン接種が進むことも踏まえてプラスに。リーマン・ショックのときのように長引かない。もし5年先も続けばみんなつぶれている。

 関貫氏 国の方針なのでそれを盾に、保健所などに情報公開を求めるなどするべき。また、クラスターが出たエリアくらいは知りたい。

■質問

 【(3)家事はしている方か】(○×のパネルで回答)

 関貫氏 「○」 掃除をしている。気になるところが目につくので時間があるときは徹底的にしている。

 中貝氏 「○×」 妻は厳しいので掃除をしたくらいで家事をしたとはならない。機嫌が悪いときはさっさと食器を洗うし、湯たんぽの準備なども。その程度ではやってるとは言えないと、日本中の女性から言われそう。

 【(4)豊岡市議会に女性が増えたほうがいいか】

 中貝氏 「○」 半々。年齢とか多様性、さまざまなバックグラウンドを持った人になってほしい。

 関貫氏 「○」 半々。何かをしていた方が来てほしい。地域の人の中でもターゲットを決めてほしい

 【(5)土俵など女人禁制は女性差別か】

 関貫氏 「×」 差別ではなく文化。悪い文化ではない。高野山の女人禁制も昔ながらの文化。先祖が培ってきた。男性禁止もたくさんある。

 中貝氏 「×」 こんな質問が意味がないという意味でバツにした。つまり格差の本丸は、なぜ家事や育児介護が女性ばかりなのか、会社の中でなぜ女性が補助的な仕事ばかりなのか、まちづくりの中で女性が入ってこないのかだ。土俵の話ははるか端っこのこと。関係者が納得すればそれでいい。

■テーマ

 【(2)人口減少対策】

 関貫氏 日本全体の問題。東京にはありとあらゆる仕事があり、魅力的なまち。親もいい大学やいい就職先につけと企業へとそんな価値観を持たせた。エンターテインメント、アミューズメントがあっても帰ってこない。教育を変えないといけない。しかし長い時間待っていられない。若い世代は子育てに不安を抱えている。子育て支援は一丁目一番地だ。U・Iターン者に選ばれるまちにならないといけない。帰ってきたけどこんなところだったのか、子育て支援について後悔している人もいる。少なくとも、但馬の他の自治体と同じステージに立つ。立たないと誰も振り向いてくれない。子育て支援を充実させることは必要。

 また外貨を稼ぐために製造業など企業支援も必要。起業家のマッチングで拡充し、外貨を稼ぎ、内需を高める。

 新しい産業の創出も必要。IT産業ではテレワーク人材も求められている。農林水産業は外国人の方の協力も不可欠。招聘手続きが複雑なので市が窓口を設けて支援する。これらを実現していけば心の余裕が生まれ、外からも目を向けてもらえるまちになる

 中貝氏 奈佐、港西、港東小の閉校式があった。地域の人が泣くような思いで決断された。人口減少はさまざまな問題を私たちに突きつける。バス路線の廃止、店もつぶれる、なんとかしなければいけない。最大の要因は若者の流出だ。8割が出て行く、20代は帰ってくる。4割を取り戻しているが、6割は赤字。さらに男女別でみると女性は男性の半分しか帰ってきていない。若い女性に選ばれていない。選ばれているのは大都市、東京。この問題には思い切った施策が必要だ。その豊岡の旗印が小さな世界都市。人口規模が小さくてもいい、世界の人たちから尊敬され尊重されるまち。豊岡の地域に深く根ざして世界に輝く。

 具体的には、コウノトリ野生復帰や、コウノトリ米の輸出、インバウンドも増加、深さをもった演劇のまちづくり、ジェンダーギャップの解消などを推進力にしながら、若い人たち、とりわけ女性を取り戻そうという作戦。

 なぜ帰ってこないのか。壁は三つ。一つは経済的魅力に乏しい。今から大企業を誘致するのはできないので、小さくてもやりがいのある仕事を、世界に認められるようなかばんづくりなどをやっていく。そして豊岡の文化を外国語で伝えていく。テレワークも大きな可能性がある。

 二つ目は文化的な魅力に乏しい。フルセットをそろえることはできないが、たまたまチャンスだった演劇やダンスは、最先端の作品を見ることができる。

 三つ目は女性にとっての壁、男女格差。勤めても補助的な仕事ばかり、家事や育児、介護を女性が担う。まちづくりは男性ばかり。そんなまちに大学生が帰ろうと思わない。

 原因が何かを突き止め、その対策として、突き抜けた価値をつくりあげなければ若い人たちは帰ってこない。大学卒業間際の男女が子育てをしやすいからと帰ることを選ぶでしょうか。その前にやりがいのある仕事が小さくてもあるか、文化的にそこがおもしろいまちなのか、女性の場合はちゃんとそこで能力を発揮できるのか、それが大きなポイント。その後で子育て支援をしっかりとする。命の共感、同じまちに暮らす者として、子育ては大変だからみんなで応援しようということ

■クロストークタイム

 関貫氏 男女格差については本当にそうなのか。庁舎内でお茶くみばかりする女性はいない、均等的な扱いのなかで、現在幹部職員に女性が本当に少ない。それがよくないと十数年前からいわれているが解消されていない、なにが要因と考えるか。

 中貝氏 お茶くみは男女がやっていて、それが問題ではない。ある男女の職員のこれまでの職歴を比べると、女性は窓口が多く、男性は財政や対人関係などをやって能力をアップしてきた。女性はその上に家事育児をやってきた。どうしても男性が幹部に昇進する。昔は男性しか採用しなかった、採用しても女性はやめていった。この格差をなくす。

 関貫氏 女性の家事について、それは格差、区別でそうなったとは到底思えない。夫婦の中での取り扱いの差だと思う。それを指摘する前に、市長を20年している、庁舎の結果をそういわれても納得できない。

 中貝氏 反省はある。今は少なくとも男女半々で採用。ただ2015年に回復率を見たときにワニが口をあけたように男女に違いがあり、そこで始めて気付いた。その慣行に十分にメスを入れられなかった。女性職員にも謝ったが、いろんなものを断念してきたと言っていた。心にこたえた。こんなことは変えたいと思っている。

■テーマ

 【(3)演劇のまちづくりについて】

 中貝氏 深さを持った演劇のまちづくりというのは、豊岡の新しい魅力を一からつくり上げるという取り組み。県立の大会議館という古いホールを県から受け取った。そして演劇やダンスをつくるという滞在制作の日本最大の拠点に変更。今世界中からアーティストが続々とやってきている。芸術監督は日本を代表する劇作家の平田オリザさん。平田さんは豊岡をすっかり気に入って、家族とともに豊岡に移り住んでこられた。平田さんが主宰する劇団「青年団」、東大のそばにありますけれども、活動拠点は豊岡に移した。劇団員ももう30人以上、家族とともに豊岡に移り住んできている。専門職大学という新しい制度ができることを早く設置されることを察知して、私たちは知事に対して、豊岡の強み、つまり観光、それと演劇は世界に突き抜けている。これなら世界中、日本中から学生がやってくる。4年生の県立大学をつくってくださいとお願いした。知事はハートにピっと入って、そうだということで、この4月、豊岡に新しい大学ができた。初めての大学。1学年80人、4学年320人、教職員80人、400人がこの豊岡に移り住んでくる。志願倍率は7・8倍。大阪はもちろんだが、北海道からも沖縄からも学生たちがやってきている。東京も飛び越え、名古屋も大阪も京都も神戸も飛び越えてこの豊岡にやってきてくれた。本当にうれしい。

 演劇祭もやることにした。コロナ渦だったので客席は半分以下にしたが、4700人を超える方々が来ていただいた。豊岡市民は30%、県外から半分、関東から15%のお客さんがあった。市民以外に宿泊の有無を訪ねると、73%の人が宿泊したと答えた。6泊以上した人もいた。経済効果は約7500万円。つまり、演劇祭は観光。温泉、そば、スキーを目当てに来る人があるように、優れた演劇やダンスを見るためにわざわざ日本中から来る人があることが分かった。新しい豊岡の観光をつくろうというのが、この演劇のまちづくりの中の演劇祭。昨年の予算は約6千万円、それで7500万円の成果、客席を半分にしたので、まあ健闘したんだろうと思う。

 予算6千万円のうち、豊岡の市民からいただいている税金は200万円。残りはそれは面白い応援しようと国からいただいた交付金、全国の皆さんからなんと面白いことをするんやといただいたふるさと納税、寄付だ。深さを持った演劇のまちづくりのためのふるさと納税は昨年度1億1千万円いただいた。その一部を使って、市民の皆さんの税金を使わずうまく立ち回って経済効果につなげている。

 つまり、大学ができた、世界的に誇れる施設ができた、観光の新しいのが目に見えてきた。

 それだけでない。深さを持ったと言っている。豊岡市の小学6年生中学校1年生はみんな演劇の授業を受けている。コミュニケーション能力の向上だ。なぜなのか。コミュニケーションは双方向。自分の考えを言うだけなく、相手の考えを受け止めなければならない。相手の立場に立ち、なぜそういうことを言うのかを考えてみる能力、これがなければコミュニケーション能力は身に付かない。

 なぜ演劇でそれが身に付くのか。こんな風に説明している。もし、いじめっ子がいじめられっ子の役を本気で演じたら、その子にどんな変化が生まれるのか。そこからいじめっ子といじめられっ子のキャッチボールが始まる。障害のある方が目の前におられる、その方の立場に立って考えたとき、世界は壁だらけに見えているはずだ。その壁を一緒に取っ払おうやというふうになるはずだ。共感という。

 子どもたちは私たちよりもはるかにいろんな人と暮らすことになる。外国人と結婚する人も出てくるかもしれない。市役所の中にも外国の人がいる。年齢も性別も違う、障害のあるなし、いろんな人々と暮らしていかなければならない、そんなときに大切なのがコミュニケーション能力。違いを乗り越え、何とかやりくりして生きていく、つまり演劇のまちはそんな深さを持ったまちだということ。

 つまり、まとめて言うと、深さを持った演劇のまちというのはまず経済。新しい観光を築き上げる。日本中や世界中から学生を集めて、まちを元気にする。子どもたちのコミュニケーション能力向上にも役立てる。発達障害児の発達支援にも実は演劇は非常に有効だと言われている。最後は市民のプライドだ。世界中から評価されれば、自分たちのまちに対する誇りが生まれる。

 関貫氏 (中貝氏は)これまで通りの主張をされていた。ロジックというところで考えると、理路整然と言われていると感じる。だけど、内容に関しては数字だけではない。やっぱり、そこには人の感情がある。私も議員になった当初、「グローバル&ローカル」、「小さな世界都市」、そして今は「演劇のまちづくり」、当初本当に素晴らしいキャッチフレーズだなと感じていた。どんなことが始まるんだろうなという期待を持ってみていた。残念ながら、その期待は大きく裏切られた。近年感じることは、なんだか張り子の虎のような感じがして、本当にそれは実なる中身があるんだろうか。市民の共感を得られない政策になっていないだろうかというのを自問自答した。やっぱり、なっていない。多くの市民の方が、この演劇のまちづくりにどれだけ賛同しているか、共感を持っているか。

 そしてまた先ほどは入場者数は大変来ていただいたとあった。でもあのときはコロナ禍真っ最中のときだった。それをあえてやった。本当にそれでよかったんだろうかと思う。幸いなことにして感染者は出ていないという結果は得た。でもそれは偶然だったかもしれない。演劇が決して悪いとは言わない。でも今現在、豊岡は、そこで突き抜けたことをするより、市民の方に目を向けて、目線を合わせてまずはやっていくことがあるんじゃないかと私は常々言っている。

 もちろん、ふるさと納税を使ったりされて、市民の税金は使っていないと何回も言っておられる。耳聞こえは良いが、これは市民の税金を使う、使わないの問題なのだろうか。もちろん使わないでほしいという意見は多い。

 そういうことよりも、やっぱり市の市民に対する姿勢が、今大きく市民を動かしているのではないか。修正しましょう、ということを僕は言っている。演劇結構、大学もつくっていただいた。つくっていただいたと思っている。そこに400名近い人が集う、そのこと自体がなんの悪いことがあるだろうか。だけどもそれはそれ、市民の生活は市民の生活、というところがどうしてもある。そこのところをきっちりとした上でやりましょうということを僕は常々言っている。できることなら、大学では演劇や芸術、文化を深く学んでくれているわけだから、それを市民も共有させていただきたい。市民もいろんな芸術文化を楽しんでいる。それを邪魔してはいけない。

 一例で悪いが、ここ(市民プラザ)で市民の子どもたちのダンスをやっている団体が、あるときからここはもう使用できないと宣告されたそうだ。なぜなら平田オリザさんのコンテンポラリーダンス、そっちをメインでやりたいと。そこで市民の楽しみを奪ってしまった。そんなことが許されるのか。それで演劇のまちづくりと誇れるのか。

 感情論を少しばかり言っているが、市民の目線で市政を行い、市民に対して市政を行う、それが第一だと強く感じる。

 演劇に関しては南砺市利賀村が数十年前からやられている。でも、結局手をあげてしまって、今は県がやっている。もちろん市も協力はしている。だからこういうことでまちおこしっていうのはなかなか難しい、市民の気持ちがついていかない。そういったところで思っている私だ。

■クロストークタイム

 中貝氏 張り子の虎であるのではないかとか、市民に十分に理解されていないという点は私への激励として受け止めたいと思う。まだ始めたばかりだから、本当にまだまだだと思う。そのことはしっかりと心に止めて、より多くの市民の皆さまの理解を得られるということは当然にしていきたいと思っている。

 しかし例えば、大学の400人がそろうと、豊岡市の経済効果は6億円。市民の皆さんの生活に直結する。この数字だけ見ても。

 あるいは先日、フルートの演奏会を初めてやったという豊岡市民の人がいたが、1年間できなかったと泣いておられたそうだ。つまり、人間はものを食べたりとかはしなければいけないが、音楽や演劇をやることも大切。それもまた市民の大切な生活の一部。バランスをもってやりたいと思う。

 関貫氏 言われていることは、そうです、ということがある。学生が400人来てくれた。それに対する経済効果は必ずある。だけども僕はそれが良くないとは一言も言っていない。それは歓迎すれば良い。そして学生と市民の融合があって、和気あいあいと楽しく過ごせば良い。それは当たり前の話だ。

 そうではなくて、先ほどから市長が言われているように、プライドが、ということだ。もちろんプライドは大切。でもプライドを強調する前に、人々の、市民の生活が大切ではないか。生活が不安定な中で、満足した気持ちが得られない中で、心のゆとりがない中で、プライドを持つのは大変難しい。それも自分のプライドではなく、演劇をしているという事象に対してのプライドだ。なかなかそんなことは感じられない、というのが普通の人間ではないか。だからそれをやるというのはやる、だけどもこっちでやるべきことがあるということを分かってほしい。

 中貝氏 生活はもちろん大切。でもお金やものだけで人は生きているわけではない。やっぱり自分の誇り、このまちには良いところがある。もちろんその収入が低いとか、いろんな欠点はあるけれども、同時にだけど私たちのまちは優れている。その気持ちがないから日本中が衰退していった。都会に比べて自分たちは劣っている、格差がある、格差を是正することに力を入れてきた。そして人々はどんどん誇りを失ってきた。取り戻すべきはやっぱり誇りだ。

 コウノトリ育む農法は広がっているが、この農家の方たちはすごく誇りを持っている。仕事にプライドがある、それがエネルギーだ。それを見る若い人たちが農業に入ってくる。プライドを持たない人のところに人はなかなかいかないのではないかと思っている。

 世界有数の演出家たちが日本、豊岡にやって来る。世界的に活躍する劇作家が移り住んだ、それにひかれて多くの人たちがやって来る。日本中から学生が来た大学ができた、それが豊岡が素晴らしいことだ、それが誇りにつながるんだと思う。

 関貫氏 私の説明がまずいのかもしれないが、そういう誇り、まちに対する誇り「うちのまちはこんな立派な人がいるんだぜ」ということが本当に良いことなのか。誇りっていうのは自分自身が持つものだ。それと先ほど農業者の誇りを言われたが、それは農業者の方のなりわいが、誇りを持たせている。演劇のまちをそこでやったって、「すごい人が来たなあ、すごいまちだなあ、僕は誇りに思う」ってことは僕は絶対に思わない、皆さんもそうだと思う。だからその誇りっていうのは、表現の仕方とその内容が違うってのをご理解いただければと思う。

 それをやっていくことに対して、悪いという定義はなかなかない。でも何度も言うように、その前にやることがある、市民が主人公としてやっておくことが自治体としてあると言えると思う。市は市民のために汗をかけばいい。

 中貝氏 戦後の中で、廃墟の中で日本を立ち上がらせたのはやっぱり日本に対する誇りだったと思う。自分たちには自分たちの思う大切なものがある、それがエネルギーだった。何にもなかった。だから誇りのことを軽く見てはいけないと思う。もちろんいろんな批判があることは受けながら、広めていきたいと思う。

■会場からの質問

 質問者 関貫さんが「その前にやることがある、市民のためにやることがある」とおっしゃったが、具体的にはどういうことを求められて、どういうことを今の市政ではできていないとおっしゃっているのか。

 関貫氏 私の説明力、表現力が足りなかったと反省し、「やる前にやることがある」、それは、市民の方がこうしてほしい、こうしたいということがたくさんある。それがやることというわけではなく、豊岡市がやっている状況を見ると、他市がやっているのにここはやっていない子育て支援がある。それも多くある。豊岡市ができていないことで、帰ってきても「何だこんなとこ」と思われてしまいかねない。それを整備した上で、まちづくりを改めて頑張ってやっていこうということ。そうじゃないと、ここにいるお父さんお母さんが満足して子育てに対して安心できないし、お二方とも一生懸命働こうという気持ちにはならない。少なくとも、他市町がやっているようにやろうというのが、「やることがある」ということ。

 中貝氏 たぶん隣町とのことを言っておられるんだと思うが、人口移動を見ると、こちらから向こうに行く人もありますが、向こうからこちらに来られる人もあって、豊岡に来る人の方が多い。人は本当にいろいろだと思う。みんな横並びである必要はない。それぞれのまちが何に力を入れるかに、そこにまさに自治体の違いがあって、日本の多様性や面白さが出てくるが、豊岡にとって最大の課題が人口減少なので、かなりのエネルギーを費やしてきた。これはやらないともっとひどくなるからだ。

 私自身が市長として見たときにまだまだ足りないことが確かにあると思う。なので、選挙が大切。いろんなところで皆さんのお話を聞いてきた。実際に、なるほどそこが弱かったのかというところがいっぱい出てきた。そのことは、豊岡市の市政をさらに拡充する、充実するんだと思う。未来のために何をするのかということと合わせ、さまざまな声に耳を傾けるということ、そのチャンスを関貫さんにいただいたんだと思う。さまざまな足りないという声にはしっかりと耳を傾けていきたいと思う。

■メッセージ

 関貫氏 何度も同じことをいうようで申し訳ない。今、まちづくりのために一生懸命働いている方、若い方々のパワーが必ず必要。その方たちに負担をかけている市というのは認められない。もちろん、市がやることで子育て全てが楽になって簡単にできるなんてことはないと思うが、あくまで、やってないことをやれるようになる、というのは、その方たちは喜んでもらえると思う。

 その点は、市長は意固地に、例えば医療費無料化はしないといっておられる。そのことで、何人が喜ぶか、何人が悲しむか、無料化になれば喜ぶ人は必ず多いはずだ。そこで問題なのは、無料化する金額。今でも800円、1600円だ。それが無料になるということだ。ここにいる皆さんが800円くらいいいじゃないかと思われる方がいらっしゃるかもしれないが、多くの人と接して、500円、ワンコインが大切だという人が多い。それはやっぱり、格差の一つの現れだと思います。そのワンコインのためにずっと考えて、どうしようか、これをこんなことに使っていいのかと考える人がいる。そんな方が800円がなくなれば、大変うれしい。そうしてまた、困らない方なら、極端かもしれないが800円を違うこと、消費に使えるということができてくる。

 他市ではやっている。それが子育てのお父ちゃんお母ちゃんにはうれしい。じゃあもっともっと頑張って働こうぜ、と思ってくれるきっかけになればいいと思う。子育ては医療費無料化だけじゃない。保育料の問題もあれば給食費の問題もある。そういうものをどんどんなくしていくことが良いことだとは言えないかもしれないが、今は昔と時代が違う。子どもたちを大切に育てていかないとまちは滅びる。教育を大切にしないとまちは滅びる。社会全体で子どもたちを育てる、そこを頑張ってやっていきたいと思っている。

 中貝氏 豊岡を市民が乗っておられる一つの船に例えている。この船の中では日々いろんなことが起きる。交通事故にあった人、医療をどうするんだ、寝たきりになった人はどうするんだ、あるいは子どもたちの教育どうするんだ、果ては食料庫に最近シカが来ている、シカをどうするんだと。いろんなことが起きる。豊岡市役所の仕事の9割以上は、そういった市民の皆さんの日々の暮らしを支えることだ。とても大切なこと。一つ一つには、あるものは豊岡とても優れていて、あるものは足りないものがあるかもしれない。それらはこれから議論をしながら、改善すべきは改善すればいいと思う。

 しかし、もう一つ大切なことがある。もちろん市長の仕事は、本当に職員たちが一丸となって市民の日々の暮らしをちゃんと支えているのか、目を光らせて、率いていくということだと思う。この船は全体としてどこへ行こうとしているのか、その目的地を示し、その方向に進めることだ。もちろん皆さんと議論をしながら進めていくことだ。この船の前にはいろんな荒波が待っている。人口減少もそう。災害も大規模化している。AI(人工知能)が台頭して人が仕事を失うかもしれない。環境問題も大問題だと。この大きな荒波をうまく乗り越え、うまく迂回して、市民の皆さんがより幸せになる目的地を探していかなければならない。

 豊岡市は条例に基づいて議会の議決を経て基本構想をつくり、目的地をはっきりさせている。小さな世界都市。でもそれは中間目標だ。その先に、命の共感に満ちたまちをつくるということをはっきり示されている。私の提案を議会でも賛成していただいて、その目的地を定めた。これもしっかりとやっていきたい。

 命への共感、というのは、他の命、他の立場に立ってものごとを考えてみるということだ。さまざまな人々が世界をどう見ているのか、そのことを考えることで、このまちは優しさや思いやりに満ちたまちになっていくんだろうと思う。

 その前に、まず人口減少を止めなければ、もっともっと事態は悪くなる。環境問題にしっかり取り組まなければ、私たちは子どもや孫たちに合わせる顔がありません。グレタさんが言ったように、大人たちは私たちの未来を食いつぶしている。鋭い言葉を私たちに投げかけている。答えていかなければいけない。日々の暮らしを支えるとともに、この豊岡という船を全体としてどのように率いていくのか、みんなと議論しながら進めていくのか、それもまた市長の大きな仕事だ。

 市長選挙というのはまさにその両方を、誰が率いるのがふさわしいのか、ということなんだろうと思う。私も至らないことがあるが、大いに反省するが、ぜひ皆さんとともにその道を歩んでいきたいと思う。

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