兵庫県豊岡市竹野町にある一軒家の前を通ると、突然、有名キャラクターの大きな雪像が目に飛び込んでくる。リボンや髪の毛なども細かく再現された「ハローキティ」と「オバケのQ太郎」。制作したのは、この住宅に住む男性(66)。自宅の敷地で、海辺のごみや余った布などを材料にして、大雪が降るたびに新しい作品を誕生させているという。(丸山桃奈)
制作を始めたのは2020年12月。最初に作ったのは小さな雪だるまだった。「小さいときから何かを作るのが好きだった」という男性。雪が降ったので「孫に見せてあげたくて」と思ったのがきっかけという。
モデルを何にするか-。「簡単で、しかも見栄えの良いものを作ろう」。アニメや自治体などのキャラクターを作ることに決めた。人の背丈ほどもある大きな雪像作りが始まった。
「ドラえもん」や同市のマスコットキャラクター「玄さん」-など、これまでに作った雪像は10種類以上に上る。
雪像づくりは、家の敷地に積もった雪を集め、男性の身長170センチ以上に盛る作業からスタート。スコップでキャラクターの形に削り、壊れないようたたいて成形する。1週間以上形を維持できるよう、毎日修正が続く。「削るのは30分ぐらいでできる。盛る作業がえらい」とつぶやいた。
「ハローキティの首輪は、竹野浜に流れ着いたごみを使っているんです」と男性。拾ったロープに赤いビニールテープが巻き付けられている。流れ着いた浮きは、黄色のペンキを塗り、鈴に変身させた。リボンは家にあった長さ30センチ、幅15センチほどのスポンジを赤色の袋に入れて、テープで中心を絞った。オバQの口は赤い布、3本の髪の毛は針金で表現している。
「雪質が悪いとすぐに崩れてしまって」とこぼしながらも、「次はなにしようかな」と、男性の創作意欲は膨らむばかり。「写真を撮ったり、見てくれたりする人も多いけど、事故は起こさないように」と苦笑した。
