兵庫県北西部に位置し、雄大な日本海に面する香美町香住(かすみ)区。夏の海水浴や冬の松葉ガニシーズンには大勢の観光客が訪れ、テレビやラジオで地名が紹介される際は、最初の「か」を高くして「か(↑)すみ」と発音されることが多い。しかし地元では、これに違和感を抱く人がいる。「かすみ(↑)」と、「み」を高く発音するからだ。「か(↑)すみ」ではなく、「かすみ(↑)」だで-。生まれ育った郷土の地名を正しく発音してもらいたいという住民の心情に迫った。(金海隆至)
香美町は2005年、香住、村岡、美方の旧3町が合併して発足した。松葉ガニや但馬牛(ぎゅう)、ノドグロなど海山の食材の宝庫として知られる。県庁所在地の神戸市からは、JR山陰線の香住駅まで特急列車で約2時間50分もかかり、県内市町で2番目に遠い。
そんな香美町の魅力を都市部で広くPRしようと、同町は14年、神戸市内のビルの一室を借りて、同町役場神戸営業所を開設。専従職員2人を配置し、京阪神のメディアへの情報発信に力を注ぐ。
「香美町が取り上げられる機会が増えたのはよいが、一つお願いしたいことがある」。今年1月、そんなふうに話を切り出すメールが同営業所に届いた。送り主は同町香住区の住民。「香住(かすみ)は語尾を高く発音するのが正しいように思う。メディア関係者にも伝えてほしい」と、つづられていた。
「地元には気にする人がまだいるのか」。文面を読んだ同営業所所長、松井範好(のりよし)さん(47)の脳裏に、かつて同じように違和感を抱いた記憶がよみがえった。
小学生のころ、家族で楽しみにしていた紀行番組があった。サンテレビなどが制作し、日曜の昼に放送された「こちら海です」(30分)。沿岸地域の名所などを取り上げ、古里・香住の見慣れた景色や知人が紹介されるたびにワクワクした。しかしナレーションで、語頭の「か」を高く発音する「かすみ」が繰り返されると、「何だか気持ち悪い」と複雑な思いになったという。
◇
兵庫県から中国地方にかけての鉄道沿線を中心に方言を研究する甲南大学(神戸市東灘区)文学部の都染(つぞめ)直也教授(63)によると、言葉や単語のどの文字を高く発音し、低くするかというアクセントは地域によって異なる。
香住の場合、地元住民は「かすみ」と発音するが、NHKの全国放送のアナウンサーや京阪神地域の一部の人たちは、「かすみ」と呼ぶ。「住民に違和感が大きいのは、音符でいうならソドドとなる『かすみ』の音の配置。一般名詞の霞と同じ『かすみ』は『かすみ』に近いので、許容される」と指摘する。
1番目の文字を高く発音するアクセントを頭高型(あたまだかがた)という。都染教授が他地域に置き換えて挙げたのが、出身地の姫路の例。地元では全ての音が高い高平型(たかだいらがた)の「ひめじ」と呼ぶ。2、3番目の文字の音を高くする平板型(へいばんがた)の「ひめじ」は許容できても、「東京などで発音される頭高型の『ひめじ』は、私のような世代は受け入れられない」のだとか。
日本語は、英語などのように単語の音の強弱ではなく、高低の配置で意味の違いを判別する。一般に、知らない地名を発音する場合のアクセントは頭高型になるケースが多いとされる。
都染教授は「アクセントは香美町香住区、香住駅、香住漁港などと、前後に他の語がつくと変化する」とも指摘。今回の住民の要望は、あくまでも「『香住』単独のケースを想定している」と強調した。
◇
「わしの名前に通じる問題だがな」。香美町役場本庁舎で、香住区出身の浜上勇人町長(60)に、住民の要望への感想を尋ねると開口一番、但馬弁で大きな反応を見せた。
「地元の人は、『はまがみはやと』っちゅう、だがな。でも、まち(都市部)の人は『はまがみ町長』と言う」と、名字の全てを高く発音する高平型のアクセントに憤慨した。
浜上町長は香住高校を卒業後、京都市内のホテルに就職した。「40年前も職場のみんなが『はまがみ君』というから、呼ばれとる感じがせなんだった」とぼやく。現在3期目。名前のアクセントは正確を期すように、選挙カーでアナウンスするスタッフにも念を押してきた。「そうでなければイメージが違ってしまう」と力を込める。
豊岡市の中貝宗治・前市長も引き合いに、「わしらはかつて『なかがい市長』と呼んだ。それを例えば、どこにもアクセントのない『なかがい市長』と発音したら、香住(漁港)の仲買(なかがい)さんだがな」とおかしそうに笑う。
町長室での執務を終え、日が傾き始めた夕方。浜上町長は、隣にいた神戸営業所所長の松井さんに静かに語り掛けた。「この問題は詰まるところ、香美町がまだまだ知られていないということだな」
「ええ…。香住の地名は知られていても、香美町と聞くと、どこの町か分からない人が京阪神にはまだまだ多いです。高知県にも香美(かみ)市がありますが、香美(こうみ)町と呼ぶ人もいます」と、松井さんは言葉少なに答えた。
「かすみ」のアクセントはもちろん、香美町の認知度を高める使命を果たすため。神戸市に単身赴任し、同町との間を何度も往復する職員の奮闘は続く。
◇
住民がメールで訴えたアクセントへのこだわり。都染教授は「地元に根差した伝統や文化を大切にしたいという気持ちの表れ」だとみている。
そして名案とばかりに、「『香美町の観光レジャーは、香住(かすみ)でどうぞ!』と、正しいアクセントでコマーシャルを打ってみては」と、同町役場神戸営業所にエールを送った。
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