兵庫県新温泉町出身の登山家、加藤文太郎(1905~36年)の生涯を描いた「マンガふるさとの偉人・孤高の登山家加藤文太郎」を同町教育委員会が作成し、同町浜坂の浜坂先人記念館「以命亭」で原画展を開いている。登山との出合いや山岳に挑み続ける文太郎の信念などが繊細なタッチで描かれ、原画を通じて文太郎の足跡をたどることができる。6月1日まで。
加藤文太郎は大正から昭和にかけて活躍した社会人登山家の第一人者で、パーティーを組まずに山に向かう「単独行」で数々の山を制した。
漫画はB6判の全124ページ。病弱だった幼少期のエピソードに始まり、兄に連れられて登った地元の山での思い出、登山を始めるきっかけとなった三菱内燃機神戸製作所(現三菱重工業神戸造船所)での仕事ぶりなどが描かれている。
また、神戸市須磨区から兵庫県宝塚市までを1日で踏破した「六甲山全山縦走」や、但馬地域の鉢伏山や氷ノ山、北播磨地域の千ケ峰、全国の名峰を制覇した挑戦の記録も記されている。
漫画は計5300冊を発行し、新温泉町内や但馬地域の小中学校に配布。同町の担当者は「細密に描かれた原画を通じて文太郎への理解を深めてもらえれば」と話している。
原画展は200円(小中学生100円)。午前9時~午後5時。木曜休館。同館TEL0796・82・4490
(末吉佳希)
