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撮影したコウノトリの写真を持つ兄の水嶋芳彦さん(左)と安夫さん=豊岡市日高町
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撮影したコウノトリの写真を持つ兄の水嶋芳彦さん(左)と安夫さん=豊岡市日高町
知り合いに協力してもらい、個人で人工巣塔を建てた(水嶋安夫さん提供)
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知り合いに協力してもらい、個人で人工巣塔を建てた(水嶋安夫さん提供)
巣塔から落ちたコウノトリの卵=豊岡市日高町
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巣塔から落ちたコウノトリの卵=豊岡市日高町
コウノトリから自然環境を学ぶ母の前野亜希子さん(右)と娘の瑞歩さん=豊岡市城崎町
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コウノトリから自然環境を学ぶ母の前野亜希子さん(右)と娘の瑞歩さん=豊岡市城崎町
家から見える田んぼに飛来したコウノトリ(前野亜希子さん提供)
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家から見える田んぼに飛来したコウノトリ(前野亜希子さん提供)

 一日たりとも、コウノトリのことを考えない日はない。そんな愛好家が、老若男女を問わず全国に散らばる。人工巣塔を私設した兄弟、母と娘の「2世代ウオッチャー」、野生復帰の本拠地に移住した男性、自転車で巣塔を巡る高校生-。兵庫県豊岡市に住む人たちを訪ね、かけがえのない存在への愛を語ってもらった。コウノトリにのめり込んだきっかけや魅力を紹介する。(丸山桃奈)

■「私設巣塔」設置、観察 産卵確認、感動し万歳~水嶋芳彦さん(83)、安夫さん(72)兄弟

 2011年12月。豊岡市日高町の水嶋芳彦さん(83)、安夫さん(72)のそれぞれの自宅近くに、コウノトリが飛来してきた。白、黒、赤のコントラストが映える肢体に、端正な立ち姿。兄の芳彦さんは一瞬で魅せられた。「ここに人工巣塔を建てて、すみ着いてくれれば」。たまたま近くの電柱で翼を休める姿を目撃し、感電を危惧したのだ。「私設巣塔」への決意は一層強まった。

 弟の安夫さんとともに設置作業を進めた。レッカー車を持つ知人や電力会社の協力のもと、13年11月に人工巣塔を完成させた。直径2メートルの大きさの巣は廃物で作った。費用もほとんどかからなかった。

 毎日巣塔を観察し、営巣する日を楽しみに待った。事態が動いたのは4年前。近くの電柱で雌のペアが巣作りを始めたが、漏電で焼失したため、私設巣塔に移ってきた。第1号のペアは同性で産卵も確認された。

 「感動ですよ。うれしくって、万歳しました」。芳彦さんは当時の興奮が忘れられない。180日間も卵を抱いたが、雌ペアの卵は無精卵のため、ふ化しなかった。「ひなを産みたくて仕方なかったんだろうなあ」と安夫さんは振り返る。

 その後、別のきょうだいペアが営巣。今年4月には私設巣塔の完成から9年目にしてようやく、遺伝的に問題のない通常の雌雄ペアがすみ着き、現在卵を抱えている。

 安夫さんは、私設巣塔に照準を合わせた定点望遠鏡を自宅の庭に備える。2人は畑で野菜を育てたり、散歩したりする時も、コウノトリの一挙手一投足に目をこらす。巣塔から落ちた卵の殻も集めるようになった。

 安夫さんの孫が、オリジナルのかるたを作った。読み札で、観察にのめり込む祖父を「安夫おじいちゃんは、コウノトリとビールどっちが好きなの」と表現した。それでも「(巣塔を建てた)自分の行動に応えてくれたのがうれしい」という。「『うちで育ったコウノトリ』と言えるのが一番幸せ」と、2人は笑顔でうなずいていた。

     ◇     ◇

■毎日姿確認、母に報告「夢は環境保全研究」 前野亜希子さん(47)、瑞歩さん(18)

 「お母さん、きょうもいてる」。豊岡市城崎町の前野瑞歩さん(18)は5年前に引っ越してきて、コウノトリが自宅のすぐそばに現れることを知った。窓の向こうに広がる田んぼに、年中通して餌を探しにくる。瑞歩さんが姿を見つければ、母の亜希子さん(47)に報告するのが日課だ。

 きっかけは、小学3年生の時に豊岡市が主宰するコウノトリキッズクラブに入会したこと。虫を嫌うのではなく、生き物の大切さを知ってもらおうと亜希子さんが勧めた。解説を聞いたり、観察したり。気づけば、瑞歩さんはほかの鳥や自然にもどっぷりはまった。

 亜希子さんが野鳥の話をしていると、「なんでそんなに(名前を)知っているの」とうらやましがった。「お母さんに野鳥の本を買わせちゃったこともあります」と照れる瑞歩さん。近所で鳥を見ると、種類が分かるほど読み込んだ。

 亜希子さんは昨年、コウノトリも含む但馬の野鳥を撮影した写真展を初めて開いた。瑞歩さんは自ら水辺の環境についても興味を持ち、高校で生物や自然を学ぶ部活に入った。「共生、命とは。コウノトリから環境を考えさせられる。『ヘビやカメも食べるんだ』って命の連鎖も学ぶ。小さな虫を見つけても、どんな特徴で、何を食べるのかとかたくさん疑問が浮かぶ」と語った。

 受験勉強の休憩は、野鳥の本を読むこと。そんな瑞歩さんの将来の夢は、環境保全の研究だ。「身近にコウノトリが見られる自然があって、新たな発見がずっとある。この環境を守っていきたい」

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