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町家の雰囲気を生かしたホテルの客室=朝来市和田山町竹田
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町家の雰囲気を生かしたホテルの客室=朝来市和田山町竹田
城下町の風情が残る地域=朝来市和田山町竹田
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城下町の風情が残る地域=朝来市和田山町竹田
窓から見える竹田城跡。眺望を目当てに訪れる観光客も多い=朝来市山東町迫間
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窓から見える竹田城跡。眺望を目当てに訪れる観光客も多い=朝来市山東町迫間
そば店を経営する岡田隆二さん=朝来市山東町迫間
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そば店を経営する岡田隆二さん=朝来市山東町迫間
神戸新聞NEXT
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 「天空の城」で知名度を上げた国史跡・竹田城跡(兵庫県朝来市和田山町竹田)。ピークの2014年に年間58万人強の観光客らが訪れ、行政や地域は受け入れに手いっぱいだったが、飲食店や宿泊施設が相次ぎ開業するなど地元の活性化につなげる状況が整いつつある。登城ブームが一段落し、新型コロナウイルス感染拡大の影響下でも好調を維持する店舗もある。(小日向務)

■地元消費へ施設も増加 市や商工会など支援奏功

 登城ブームのきっかけは06年の「日本100名城」への選出。地元の写真家、吉田利栄さんの「雲海に浮かぶ天空の城」が話題になり、新聞やテレビなどに取り上げられるようになった。現地ロケをした映画やドラマ、CMなども相次いで放送され、竹田城跡を訪れる観光客らは急増した。それまで年数万人程度だったが、12年には20万人、13年には50万人を超えた。14年に58万2282人の頂点を迎えた後は減少に。20年からはコロナ禍で激減している。

 ただ、観光客が増え始めた当初、地元には宿泊施設や飲食店は少なく、城跡を訪れても地元での「消費」につながらないケースも目立った。朝来市や市商工会などが支援策を打ち出し、徐々にそれらの施設が整備されてきた。

 同市によると、竹田城跡周辺の飲食店や土産物店は11年以前は10軒程度だったが、その後、毎年2~4軒ずつ開店。営業継続を断念したり、地域外へ移転したりした店もあるが、現在は20軒程度まで増えた。宿泊施設は11年以前からあった1軒が廃業した後、観光客向けのホテルやゲストハウスなど8軒が新たに開業し、営業している。

 本年度に入って大幅に減少した観光客数は回復の兆しも見えてきた。竹田城跡や立雲峡を訪れた観光客は4~8月、いずれも前年を超えた。ここ2年程度は途絶えていた新規開店は2店が準備しているという。

 13年3月から1年間「竹田城課長」を務めた藤岡勇市長は「当時は、文化財でもある竹田城跡の保護と利用をどう両立させるのか-に悩んだ」と振り返る。今後はJR播但線などの利用促進も合わせて、公共交通機関と連携しながら「雲海シーズンの秋以外に、春、夏などの観光振興をどうするか、考えたい」と話す。

 朝来市商工会経営支援課の上谷大介課長は「訪れた多くの観光客のニーズを受けて、飲食や宿泊施設ができ、雇用の拡大にもつながっている」と分析。「景色がいい『景勝地』から、地域の料理や土産などが用意された『観光地』に育てなければならない。そのためにはどんな観光地にするかの戦略が必要」としている。

■山間部のそば店や城下町のホテル 眺望や趣生かし順調

 竹田城跡を訪れる観光客の減少で、周辺では厳しい経営を強いられる店舗がある一方、特色を生かして順調な売り上げを続ける店もある。

 城跡から南東に約3キロ。朝来市山東町迫間の山間部にあるそば店「右衛門五郎」は、開店して9年。当初から毎朝、石臼でひいた粉で打ったそばと窓からの眺望を売り物にしてきた。

 店の土地は、経営する岡田隆二さん(61)の妻の実家が所有していた。城跡や周辺の山々の景色は以前から気に入っており、「ここで店をするのなら、ロケーションを生かしたい」と考えたという。店内には雲海に浮かぶ竹田城跡の写真などを飾り、写真集も置いている。

 新型コロナウイルス感染症の影響が広がって2年。地元の利用が多い夜の営業は減っているが、昼の営業は順調という。ただ、観光客がピークだった時期よりは減っている上、行動制限が出ている期間は営業を自粛してきたという。

 「周辺地域が観光地になれば」と考えており、自らも店に隣接する別荘を既に購入。宿泊施設として改修し、11月のオープンを目指している。

 一方、城下町では、国の登録文化財・旧木村酒造場を改修した「竹田城城下町ホテルEN(えん)」(同市和田山町竹田)が2013年にオープンした。趣のある明治時代の建物を生かした施設で、レストランも備える。客室は当初4室だった。16年と18年に空き家だった計5棟の町家などを再生した別棟を加え、6棟13室で営業している。

 施設の拡大や「Go To トラベル」など行政のコロナ対策などもあり、20年には開業後最多の年約4980人が宿泊。昨年も4100人、今年も6月までで1940人と好調を維持している。

 同ホテルの中川翼支配人(27)は「感染者数などの影響はあるが、行楽シーズンの週末はほぼ満員。歴史的な建物を生かした施設のコンセプトや料理などを評価して、繰り返し訪れるお客さんは多い。ただ、団体が多かったレストランの利用はまだ戻っていない」と説明している。

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