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感謝状を受けた(右から)植村統子さんと素直さん、永島宏さん=豊岡市消防本部
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感謝状を受けた(右から)植村統子さんと素直さん、永島宏さん=豊岡市消防本部

 兵庫県豊岡市日高町の屋外で9月、心肺停止で倒れていた女性に心臓マッサージなどをして命を救ったとして、豊岡市消防本部は5日、看護師の植村統子(つなこ)さん(41)と、夫で病院職員の素直さん(39)、会社員の永島宏さん(58)に感謝状を贈った。偶然居合わせた3人が連携し、119番通報から処置まで素早く対応。統子さんは童謡「うさぎとかめ」のリズムで心臓マッサージを施したという。(石川 翠)

 9月17日午後9時50分ごろ、市内で開催中の「豊岡演劇祭」の演目を見終わった植村さん夫妻は、会場から自宅へと夜道を歩いていた。すると道路の真ん中に黒いカーディガンが落ちていて、街灯に照らされている。不思議に思っていると、道路脇の駐車場の入り口付近に何かが倒れている影が見えた。「動物かな」と思ったが、近づくと女性があおむけになっていた。

 同じく演劇祭の帰り道で、2人のすぐ後ろを歩いていた永島さんも立ち止まり、女性に駆け寄った。

 「大丈夫ですか」と声をかけ、肩をたたく。少し揺すってみたが反応はない。「救急車を呼んでください」という呼びかけと同時に、素直さんが119番をした。病院勤務とはいえ、通報は初めて。消防からの質問に順番に答え、冷静に場所や状態を伝えた。

 その間、統子さんが呼吸と脈を確認。胸が上下していなかったので呼吸をしていないか、していても浅いと判断した。左手首を押さえたが脈も確認できなかった。「心臓マッサージをします」と2人に伝え、すぐに胸に手を押し当てて開始した。

 その素早い判断に、永島さんは「ただ者ではない」と驚いた。10年以上前に人命救助の講習を受けたことを思い出して声かけをしたが、「心臓マッサージとなるとちゅうちょせずに動けるだろうか」。

 胸の真ん中に、片手の手のひらの付け根を押し当て、もう片方の手を重ね、腕を伸ばして真上から5~6センチ沈むくらい押さえる。入院患者などに施してきたように、いつも通りを心がけた。

 「もしもしカメよ、カメさんよ」。心の中では童謡「うさぎとかめ」を歌っていた。心臓マッサージはリズムも重要で、1分間で100~120回が目安とされる。昔、リズムを取るのにちょうどいいと聞いてから、歌に合わせて腕を動かすようになった。

 マッサージをする人の体格によって、圧迫するのにかなりの力が必要なので素直さんに交代することも考えたが、相手の女性が小柄だったので救急車の到着するまでの5分間をやり遂げた。

 駆け付けた救急隊員は正確な処置がされていたことを確認。搬送先の病院で、脈も呼吸も意識も戻った。一命をとりとめた。

 統子さんはその一報を聞いてからも、マッサージを始めるまでにすでにどれくらい経過していたのかが気になっていた。一命をとりとめても重い後遺症がある可能性もあるためだ。この日の贈呈式で脳へのダメージはなかったと聞き、ほっとした。

 心臓マッサージが1分遅れるごとに救命率が7~10%低下するとされ、一分一秒を争う。川見真司消防本部参事は「心肺停止になれば、心臓マッサージをするという選択肢しかない」と強調する。家族であれば実施しても、他人だとハードルが高いという人が多いといい、「手足を動かしたり目を開けたりしたらストップすればいいので、まずはやってほしい」と話す。

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