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手編みで商品を仕上げる杞柳細工職人の山本香織さん=豊岡市中央町
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手編みで商品を仕上げる杞柳細工職人の山本香織さん=豊岡市中央町
杞柳細工で作られた籠バッグ(ドーディチ提供)
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杞柳細工で作られた籠バッグ(ドーディチ提供)

 兵庫県豊岡市の伝統工芸、杞柳(きりゅう)細工の職人の山本香織さん(50)と、京都市のアパレルメーカー「Dodici(ドーディチ)」が共同で高級感のある籠バッグを作り上げた。素材のコリヤナギの栽培から編み上げるまでの全工程を手作業で行うため、6万6千円と決して安価ではない逸品だが、販売開始から1時間足らずで完売した。但馬信用金庫が手がけるマッチングプロジェクトから生まれた商品で、伝統工芸に新たな風が吹きそうだ。

 但馬信金が地場産業の活性化を目指し、日本財団(東京)の地方創生の助成金を活用して、かばんの関連会社と関西圏のアパレル会社などとの協業に向けた橋渡しを続けてきた。プロジェクトに参加したドーディチは、西陣織や丹後ちりめんなど各地の伝統工芸の企業や職人とともに作り上げた商品を、オリジナルブランド「renacnatta(レナクナッタ)」で展開する。

 大河内愛加社長(32)は今回のプロジェクトで初めて杞柳細工を知った。編み目の美しさや光沢感などにひかれたという。「これまでの夏のカジュアルな服装に合わせるような籠バッグのイメージとは違い、デザイン次第では上品で高級感の漂うバッグになるだろうと思った」と振り返る。

 一方で、膨大な作業に見合わないような価格設定で販売されている現実も知り、職人として自立したいという思いを持つ山本さんとも話し合って、手間に見合った価格帯での商品開発を意識したという。

 新商品は小ぶりな杞柳細工の籠に、持ち手やふたはイタリアの革、裏地はスエード調の生地をそれぞれ合わせた。レナクナッタの商品としても高価格だったが、「デザインが美しい」「一生ものにしたい」などと反応が良く、労力と時間のかかる手作業の価値が消費者に伝わったことで即完売につながった。

 レナクナッタの顧客は30代が中心といい、山本さんは「いい物を作っても販売ルートがないので、若い年齢層にも広めてもらってありがたい」と話す。

 大河内社長は「後継者が増え、伝統工芸を守ることにつながれば」と話し、今後もデザインを検討しながら山本さんとともに商品作りを続けるという。

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