買い物に訪れたスーパーで倒れ、意識不明になった女性（８３）に救命処置を施したとして、兵庫県美方広域消防本部は１４日、香美町職員の西浦弘仁（こうにん）さん（４９）と大島拓海さん（２６）に感謝状を贈った。

　女性は１月２０日正午過ぎ、町役場近くの「フレッシュバザール香住パーク店」（香住区香住）前で、車から降りた直後に倒れた。

　昼休み中の西浦さんがその場に遭遇。店の前に人だかりができ、輪の真ん中で女性が家族にもたれるように座り込んでいた。目を閉じ、顔色は悪く、呼吸もない。あおむけに寝かせ、すぐに胸骨圧迫を始めた。

　そこへ大島さんも来店。西浦さんが心臓マッサージをしながら周囲に「ＡＥＤ（自動体外式除細動器）ないですか」と尋ねているのを聞き、「役場から取ってきます」と取って返した。

　西浦さんは４分間にわたって心臓マッサージを続けた。やがて女性の目が開き、呼吸も戻った。「分かりますか」「手動かせますか」と声をかけると、徐々に受け答えもできるように。ＡＥＤは使わずに済んだ。その後、救急車が到着。女性はドクターヘリで公立豊岡病院に運ばれた。

　西浦さんは町防災安全課の副課長。美方広域消防本部が消防団向けに開く救命講習に毎回同席し、心臓マッサージの手順が頭に入っていたといい、「講習の知識が役立った」。農林水産省から出向中で、３月末で東京に戻る大島さんは「できることをやろうと思った」と話した。

　同本部の岡田壽彦消防長は「ちゅうちょせず、即行動できるのは素晴らしい」と２人をたたえた。女性は後日、町役場を訪問。２人に感謝していたという。