兵庫県の但馬各地で１５日、東京に実在する弁護士や弁護士事務所をかたって３００万円を請求する不審なファクスが相次いだ。何者かが虚偽の文書を作成したとみられ、美方署などが注意を呼びかけている。

　ファクスは不特定多数に送ったとみられ、美方郡や豊岡市、養父市でも確認。美方郡では役場や高校にも届いたという。

　文面には「当職が原告代理人を務めました東京地方裁判所令和４年（ワ）第４０２９８号にて貴社に対する金３００万円の損害賠償請求が認められましたが、令和５年３月１４日現在お支払いいただけておりません」と記載。振込先の金融機関や口座番号なども記され、２０日までに支払わない場合は強制執行の申立を行うとしている。サインや押印もある。

　文章の不自然さも目立つ。冒頭のあいさつ文が「早春の折、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申しげます（原文ママ）」となっており、「申し上げます」とあるべきところが「申しげます」と誤植。「弁護士」の肩書が名前の前後両方に付くなど、文書作成に不慣れな様子もうかがえる。

　全国各地で同様のファクスが確認されており、名前をかたられた弁護士事務所はホームページで注意喚起。美方署は「身に覚えがない請求には応じないで」と呼びかけている。

■不審なファクスの全文

【最終警告】損害賠償金お支払いのお願い

早春の折、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申しげます。

さて、この度は過日東京地裁にて請求が認められました損害賠償金が未払となっていることについてご連絡差し上げました。

当職が原告代理人を務めました東京地方裁判所令和４年（ワ）第４０２９８号にて貴社に対する金３００万円の損害賠償請求が認められましたが、令和５年３月１４日現在お支払いいただけておりません。

もし３月２０日までに指定の当法律事務所の銀行口座までお支払いいただけない場合、同地裁に強制執行の申立を行わざるを得ませんので、どうか早急にご対応くださいますようお願いいたします。

皆様のご健勝をお祈り申し上げます。