兵庫県養父市の国家戦略特区でレタス栽培を手がけてきたオリックス農業（養父市）は、丹波篠山市で植物工場を運営する「モーベルファーム」に全株式を譲渡した。同社は設備と従業員とともに経営を引き継ぎ、２０日から運営を開始した。

　オリックス農業は、オリックスの１００％出資子会社として２０１４年に設立。旧南谷小学校（養父市大屋町門野）の体育館を完全人工光型の植物工場に改修し、レタス栽培に取り組んできた。

　モーベルファームは２０年に創業。丹波篠山市の植物工場でグリーンリーフレタスを年間約４７０トン生産する。モーベルファームはオリックス農業からレタス栽培を承継し、養父市内で年間約７０トンを生産する予定。設備と従業員１５人もそのまま受け入れた。今後は、地元で従業員の新規採用も検討するという。

　オリックスは、国家戦略特区である同市内で二つの農業事業を展開した。１４年にオリックス農業がレタス栽培を始め、１５年にはＪＡたじま（豊岡市）などとの共同で設立した「やぶファーム」の筆頭株主として、ホウレンソウなどの水耕栽培に着手した。

　オリックスは、やぶファームの全保有株式を山梨県の農業法人の子会社「兵庫ネクストファーム」（加西市）に譲渡する方針。養父市の農業からは事実上の撤退となる。（吉田みなみ）