奈良県の山間部で50年以上続いた和菓子店「豊田旭堂」の味を引き継いだ団子店「とよだのみたらしだんご」が、兵庫県朝来市山東町矢名瀬町でオープンした。2度蒸した後に焼いた団子の表面はカリっと、中は軟らかい独特の食感。甘さは控えめで、地元の評判になっているほか、和歌山県など遠隔地から買い求めに訪れる人もいるという。(小日向務)
団子店を開設したのは、代表の奥達雄さん(52)と実家の豊田旭堂から28年前、山東町に嫁いだ水谷善子さんらいずれも50代の4人。団子店と同名の会社を設立し、運営している。
豊田旭堂は、桜の名所で知られる奈良県東吉野村の山あいを流れる川の近くの集落にあった。水谷さんの父が経営していたが、後継者がおらず、7年前に店を畳んだ。みたらし団子は、地域住民や観光客らに人気だったという。父は5年前に他界している。
奥さんと水谷さんは近所に住む間柄だ。水谷さんの発案で、ほかの2人とともに豊田旭堂のみたらし団子を再現しようと、昨年春に開店の準備を始めた。和食などの店で店長兼料理人として働いていた奥さんは、和菓子作りの経験はなかった。水谷さんも結婚前に簡単な手伝いをしていただけだった。
閉店した豊田旭堂から一部の機器を搬入し、中心となって製造する奥さんが試行錯誤を続けた。水谷さんや手伝ったことのある親族に聞いた漠然とした製法を参考にしつつ、後は水谷さんらの味の記憶だけを頼りに復活を試みた。奥さんはインターネットで基礎的な知識を集め、「『もう少し歯ごたえがあった』などの意見を聞きながら試作を繰り返した。再現は大変だった」と振り返る。
複数の米粉の配合や水の分量、こね方、蒸す時間を工夫し、約2カ月がかりで豊田旭堂の味を安定的に再現できるようになった。生地の段階で1度蒸した後、機械で丸めてから、もう一度蒸すのが特徴。焼いた後の食感を良くするため、2度目の蒸しの前に団子をやや扁平(へんぺい)になるよう手作業で成形もしている。
昨年11月の仮オープンを経て、今年1月、正式に開店した。定番は、みたらし団子と、きなこ団子。それらに手作りしたあんこを載せたものもある。季節に合わせた商品も用意し、春はよもぎ団子と、ほうじ茶の団子を提供している。加えて、わらび餅などもある。店内には子どもが喜びそうな「駄菓子屋」のコーナーを設けた。
朝来市だけでなく、豊岡市や丹波市など県内周辺から訪れており、購入層の年齢も幅広い。毎月15日、豊岡市出石地域のイベントに出店する。3月には朝来市生野地域の催しでも販売した。
奥さんは「お客さんは今のところ、珍しさで買いにきてくれている。もう少し安定するようにファンを増やしたいし、地域の雇用増にも貢献したい」と話す。
みたらし団子など1本140円、4本セットで500円。営業は火、土、日曜日の午前10時から夕方(売り切れ次第終了)。TEL079・668・9180
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