日本のテレビ放送開始から今年で70年を迎えたのに合わせて、1950年代半ばから2005年までに製造されたテレビ37台などが、兵庫県朝来市山東町楽音寺のヒメハナ公園ウツギの館で展示されている。同市の藤原伊佐夫さん(68)のコレクションで、不要になったテレビを引き取り、故障を直した。大半がブラウン管を備え、いずれも視聴できるという。(小日向務)
藤原さんがテレビなどに関心を持ったのは、小学校高学年の時に、ラジオを作ったことがきっかけ。その際に真空管のほのかな明かりに魅せられた。20代前半には、故障した状態で譲り受けた白黒テレビをうまく修理できたことで、「はまった」。その後もいらなくなったテレビなどを引き取り、修理してきたという。
テレビ放送は1953年2月に始まった。テレビは当初、真空管を使っていたが、70年ごろには徐々にトランジスタに切り替わり、その後、カラーテレビが普及し出したという。
展示品は真空管使用が20台、トランジスタの製品が17台で、このうち最も古いのは55年ごろに製造された2台。1台は自分で組み立てるキット式のテレビで、当時、既製品は高かったため安いキット式の商品も多く販売されていた。古いテレビは外装が木製で、チャンネルを変える機械式のつまみがついている。
一方、「最新」の展示品は、2005年製のビデオと一体になったテレビという。そのほかの新しいものでは、比較的小型のポータブルテレビなども並ぶ。会場には、放送開始に合わせてテレビスタジオや中継施設の完成を伝える雑誌や、かつての商品パンフレットのコピーなども展示。「昭和」の茶の間の風景も再現している。
藤原さんは今でも視聴できるように各テレビを維持しており、多くの部品は他のテレビから流用している。ただ、真空管はインターネットなどを通して未使用品も入手できるという。「真空管のテレビは部品も大きく、修理しやすい。古いテレビが今でも見られることを知ってほしい」と話している。
観覧無料。展示は5月14日まで。月曜休館。同館TEL079・676・4587
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