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こちらを見つめる雌ジカ。警戒させなければ、数メートルの距離まで近寄れることもある=豊岡市内(岡居宏顕さん撮影)
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こちらを見つめる雌ジカ。警戒させなければ、数メートルの距離まで近寄れることもある=豊岡市内(岡居宏顕さん撮影)

 実は、生き物を殺すのはすごい苦手なんですよ。初めて撃った動物はイノシシでした。一撃で仕留められずに苦しませてしまった。あれは忘れられませんね。今でも悲鳴が耳に残っています。

 だから今もずっと鉄砲の練習をしていて、射撃の技術は自信があります。狙ったところに100%当てる技術。動物が走っている時とか、何があっても外さない技術ですね。

 僕は長距離で撃つんですが、撃つ時は頭ではなく、心臓を狙います。確実に当たるように。最長で720メートル先のイノシシを撃ったことがあります。720メートル離れていると、弾が到達するまでに1・04秒かかる。その間に動物の体が動く可能性もあるので、なるべく400メートル以上の距離は撃たないようにしているんですが、どうしても仕方がない場合は撃ちます。

 720メートルっていうと、神戸の元町から三宮に立てた郵便はがきを撃ち抜くくらいのイメージです。国内には300メートルまでしか射撃場がないんですが、僕の場合はスキー場やゴルフ場で捕獲距離を段々延ばして、そこまで撃てるようになりました。風が読めないといけなくて、風速や風向き、地球の自転速度もスマホのアプリに打ち込んで、狙うポイントを計算します。でもアプリに日本語版がないので、日本では需要がないんでしょうね。

 シカとの交通事故は、シカが道路に飛び出してくるポイントがあるので、その見分け方さえ分かっていれば、避けられます。山が接近してくるところです。山が段々道路側に寄ってきて、「ここが限界やな」っていうところ。山と山が接近する場所や、山が接近する川沿いは動物の通り道になっているので、出ると思ってください。

 シカって1日3回、大体8時間ごとのローテーションで動くんですが、ご飯を食べて、反すうするために水を飲まんといかんのですね。反すう動物は微生物をおなかの中で飼っていて、それには十分な量の水が要る。だから水場の近くはシカが通ると考えた方がいい。

 あとは発情期に気をつけてください。大体9~11月です。雌を囲い込んだ雄は、縄張りを見張ろうとして、できるだけ見通しがよいところに出てくる。だから発情期には、血走った目をした雄が道路の真ん中にいるんです。

 それから、興奮した雄は雌を追いかけ回すんだけど、雌はまだ受け入れる準備ができてないから、雄がうっとうしくて仕方がない。それで雄から逃げて人里近くまで下りてきて、道路を横切ってしまう。雄はそれを追いかけて車にはねられるんです。

 時期的には、発情期に気をつける。地形的には近くに、川があるか山があるかですね。(まとめ・長谷部崇)

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