兵庫県養父市大屋町明延の明延鉱山探検坑道内にある「明寿蔵（めいじゅくら）」で、養父市産の純米吟醸酒「仙櫻（せんさくら）」と純米酒「明延」の蔵入れと蔵出しが行われた。製造した山陽盃酒造（同県宍粟市）と養父市の関係者が立ち会い、日本酒の華やかな香りと味を楽しんだ。

　仙櫻は、市内で有機栽培した酒米「兵庫北錦」と、氷ノ山清水自噴水「ぶなのしずく」を原料に醸した日本酒。明延は、同市大屋町宮垣の蛇紋岩（じゃもんがん）地層で栽培した兵庫北錦が原料だ。坑道内の気温は約１２度で保たれており、仙櫻は半年、明延は１年熟成する。

　今回は新酒の仙櫻と明延を蔵入れし、昨年から１年間寝かせた明延を蔵出しした。山陽盃酒造は２０１８年に起きた火災で宍粟市の酒蔵を焼失しており、２１年に新工場が完成。今回蔵出しした酒は、新工場で造った初めての明延だ。

　蔵出しと蔵入れは、養父市の山下吉正副市長と同社の壺阪雄一専務が担当。その後、新酒と熟成後の酒を試飲した。熟成後の明延を口に含んだ山下副市長は「すっきりしていて、少し辛口だがこくがある」と評価。壺阪専務は「アユの塩焼きとぴったりな味。火災前の酒蔵で造った酒を好んでいた人も、ぜひ一度飲んでみてほしい」と話した。（吉田みなみ）