8月15日の台風7号で、冠水した県道に立ち往生した軽トラックから80代の女性2人を救出したとして、兵庫県香美町香住区八原の会社員奥谷康忠(やすのり)さん(41)に6日、県の善行賞「のじぎく賞」が贈られた。
台風7号で八原地区を走る県道香住村岡線は、矢田川の水が堤防を越えて一帯が冠水。高さ約1・3メートルまで水に漬かり、女性2人の軽トラも車内まで浸水した。パトカーも約500メートル先から近づけない状況だった。
そこへ、田畑を見回っていた奥谷さんの四駆が通りがかった。猟師として山に入る奥谷さんの四駆は車高が高く、「俺が行ってくる」と冠水した道路に突入。軽トラから約10メートルまで近づくと、女性2人は顔見知りだったという。「やっちゃん、助けて!」「待っとけよ!」。太ももまで水に漬かった2人を1人ずつ抱きかかえて四駆に乗せ、引き返した。
救出後、現場の水位はみるみる上昇し、軽トラは天井近くまで水没した。同県警美方署の鯉田茂樹署長は「署員だけでは救出に時間がかかったかもしれない。危険な状況だったが、救助の神様が舞い降りた」と感謝。奥谷さんは「困っている人を助けることができてよかった」と話した。(長谷部崇)