前回、山陰海岸ジオパーク館で地球の活動について学んだので、今回はその恩恵に与(あずか)ろう。但馬は温泉の宝庫だ。いろいろ巡って、このコラムでも少しずつ紹介していきたい。
黒川ダムを見上げる迫力のロケーション、朝来市生野町の黒川温泉を訪ねた。駐車場には神戸や京都ナンバーが目立ち、但馬外からの人が多そうだ。温泉の前にまずは腹ごしらえと食事処(どころ)へ。壁の手描きメニューが見やすく、食欲をそそられる。
鹿のカツや甘露煮、ミニぼたん鍋など、ジビエ(野生鳥獣肉)が楽しめるらしい。おでんもグツグツ煮えている。迷った末に、私は平日限定の「黒川定食」。岩津ねぎの天ぷらに八鹿豚のカツ、黒川大根のおでん等々、地元の食材をたっぷり味わった。寒暖差が激しい地域だからこその実の締まった黒川大根、最高でした。
主人は1日20食限定の「ダムハヤシ」を注文。鉱山が賑(にぎ)やかだったころの人気メニュー、ハヤシライスを「生野鉱山の味」として地域ぐるみで復活させたのだそうだ。トマトベースのさっぱりハヤシソースをゴハンのダムが堰(せ)き止め、から揚げが岩、サラダが森、旗の立つポテトが黒川温泉、そこにワカサギフライと、別添えの温泉卵。ジオラマのような盛り付けが楽しい。ダムハヤシはレトルトでも販売中でお土産にぴったり。
そして温泉。泉質は炭酸水素イオンを含むアルカリ性単純温泉で肌がすべすべになる美人の湯と呼ばれている。内湯と露天をゆっくり堪能、評判通りのいいお湯だ。大満足の小旅行だった。