インストラクターの齋藤浩司さん(奥)から、パドルのさばき方などを教わる河合美智子さん=豊岡市竹野町(河合さん提供)
インストラクターの齋藤浩司さん(奥)から、パドルのさばき方などを教わる河合美智子さん=豊岡市竹野町(河合さん提供)

 一般社団法人「INCREW(インクルー)」の齋藤浩司さんに誘われ、豊岡市竹野町の竹野浜を訪れた。自然体験活動のインストラクターである齋藤さんは、ガイドをしている中で障がいのある人でも健常者と同じように楽しんでもらいたいとの思いが強くなったという。

 その第一歩が「下半身に障がいがある人、車イスを使用している人でも、自分で座位を保て上半身に力が入れば体験可能なマリンスポーツのプログラム」。脳出血の後遺症で右半身に麻痺(まひ)の残る私が、生まれて初めてのカヤックに挑戦する。

 まず、パドルの使い方のレクチャーを受け、乗り込むのはレクリエーショナルカヤック。安定感があり、初心者でも安心だ。その2人乗り用に私が前で、後ろに齋藤さん。すぐに海へと漕(こ)ぎ出した。

 お盆を過ぎて、さらに透明度が増したという日本海は、目の覚めるようなコバルトブルーで「ここは地中海?」と錯覚するほどの美しさ。豊岡で観測史上最高の39・7度を記録した日だったが、海上は気持ちのいい風が吹き、とても爽やかだった。

 病気をしてから、新しい世界と出合うことなんてないと思っていた。障がいがあると「諦めなければいけないことが増える」のは確かだが、「諦めなくてもいい選択肢も数多くある」のだ。

 プログラムは10月上旬ごろまで。漕ぐ力がないという人でも、齋藤さんや同行者に同乗してもらったり、ロープでけん引することもできるので、まずは相談してみてほしい。高齢者や障がいがない人でも興味を持たれたら、ぜひお問い合わせ下さい。

 インクルーTEL090・1710・4290