さまざまな分野で活躍する3組の美術作家が城崎国際アートセンター(KIAC、豊岡市城崎町湯島)に滞在し、住民と交流しながら、地域の文化や自然を調べて作品を制作する「コミュニティプログラム」の成果報告会が1月25日、KIACであった。同センターは「アートは人がともに生きるための技術」とし、主に同市竹野町で受け継がれてきた伝統行事や歴史、その魅力を掘り起こした歩みを披露した。(阿部江利)
■地域の文集をかるた化、盆行事の映像披露も
同プログラムは2022~24年度に実施。地域行事の担い手が先細る中、表現活動を生かした新たな伝承の在り方などを探ってきた。この日はプログラムの集大成として、参加した3組の作家が調査成果を発表。奉納相撲で歌われる民謡「竹野相撲甚句」▽半世紀前に同町で刊行された文集▽盆行事をはじめとする地元の文化や風習-について、調査成果が披露された。
北前船の寄港地だった竹野には、江戸時代に航路の秋田から乗組員を通じて相撲甚句が伝わった。長年歌い継がれたが次第に廃れ、1975年に保存会が発足したが、最近になって会も解散しており、「メロディーだけでも残したい」との声が上がっていた。