中田工芸の歩みを語る中田孝一会長=豊岡市日高町江原
中田工芸の歩みを語る中田孝一会長=豊岡市日高町江原

 国内唯一の木製ハンガーメーカー、豊岡市日高町江原の「中田工芸」は今年、1946年の創業から80年を迎えた。バブル崩壊や台風被害などを乗り越え、自社ブランド「NAKATA HANGER(ナカタ ハンガー)」の製品に国内外から注文が舞い込む。中田孝一会長(71)、修平社長(47)に社業やブランドへの思いを聞いた。(阿部江利)

 今年4月下旬、同社は豊岡市内で創業80年の記念祝賀会を開いた。社員や関係者ら約140人を前に、孝一会長は創業者の父敏雄さんらの歩みを紹介した。

 同社のルーツは、孝一会長の祖父要太郎さんが、敏雄さんが生まれた17年に江原で始めた荒物屋「中田要商店」にさかのぼる。

 敏雄さんは3人兄弟の長男で将来を嘱望され、家業を弟に託して南満州鉄道に就職した。戦争が激化して陸軍に配属され、敗戦後に命からがら帰郷すると、家業を継ぐはずだった弟2人はフィリピン沖とビルマでそれぞれ戦死していた。

 戦後、店番をしていた敏雄さんの元を、戦時中に大阪から疎開したハンガーの職人が、商品を手に「売ってほしい」と訪れた。但馬産のおひつや柳ごうりなどとともに神戸や大阪に行商したところ、テーラーで需要があり、職人と製造を始めた。