里山に春の訪れを告げる山野草、アズマイチゲやセリバオウレンが、兵庫県丹波篠山市大山宮の自生地でかれんな花を咲かせ、訪れた愛好家らの目を楽しませている。
アズマイチゲはキンポウゲ科の多年草。「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」とも呼ばれる植物の一つで、夏前には姿を隠す。九州以北の日本各地やサハリン、朝鮮半島などに広く自生する。花の大きさは3~4センチほど。白い花びらに見えるのは、8~13枚あるガク片だ。
セリバオウレンのひときわ小さな白い花もあちこちに。こちらはキンポウゲ科の常緑多年草。葉はセリに似る。このほか、斜面一帯に、セツブンソウも群生している。
同県明石市から訪れた主婦(73)は「ここに来るのは3回目。野生の花は、園芸種と違って、けなげでかわいい。心がなごむ」と、早春の花たちの共演に目を細めていた。(堀井正純)