イランの首都テヘランで日本人学校の校長を務める西田隆之さん=丹波市春日町黒井
イランの首都テヘランで日本人学校の校長を務める西田隆之さん=丹波市春日町黒井

■「イランで誰も戦争を望んでいない」

 丹波市立中央小学校長だった西田隆之さん(59)=丹波市春日町黒井=が昨年度から、イラン北部にある首都テヘランで日本人駐在員の子どもらが通う日本人学校の校長を務めている。4月、シリアにあるイラン大使館への空爆を皮切りに、イランとイスラエルが互いに武力行使する事態に発展。情勢悪化で一時帰国した西田さんに、現地の様子や暮らしぶりを聞いた。2回に分けて紹介する。(聞き手・那谷享平)

 -イランがイスラエルを攻撃した時の雰囲気は。

 「4月1日にイラン大使館が爆撃された後も、テヘランは平和な雰囲気でした。政府は報復をアピールしていましたが、イランの人たちは自国の防衛力を信じておらず、『うちは弱いから、戦争はしないだろう』と言う人もいた。13~14日のイスラエルへの攻撃は驚きでイランの人たちも『まさか』という反応でした」

 「14日は入学式と始業式の日でしたが、日本大使館からの指示で延期し、自宅待機になりました。14日以降は現地の人とあまり接触しませんでしたが、現地の大学や高校は授業があり、普通の日常生活が続いていたようです」

 -帰国直前、イスラエルがイラン中部に反撃した。

 「教員の家族たちを先に帰し、必要な事務を済ませ、自分と残った先生の帰国が決まったのが18日。すぐに日本大使館が翌日早朝の飛行機を確保してくれた。そして19日午前4時、空港にいたら突然、飛行機がキャンセルになったと言われ、周りのイラン人が攻撃があったと教えてくれた。大使館に連絡し、テヘランに戻ろうとしましたが、搭乗便が欠航ではなく遅延と分かり、午前10時に出発できました」