地面からニョキニョキと不思議な物体が顔を出している。地下から地上へ伸びたエントツ群? どうやら赤茶色にさびた鉄パイプらしいが、水族館の人気者、砂から顔を出すチンアナゴたちのようにも見える。トーベ・ヤンソンの名作「ムーミン」に登場するミステリアスな生き物「ニョロニョロ」を連想する人もいるかも?
兵庫県丹波篠山市今田町今田の田園地帯。民家の庭先に、円柱群は鎮座している。正体は、画家・河津秀俊さん(73)が、遊び心で制作・展示した現代アートだ。所有する葉タバコの乾燥小屋に残されていた直径20センチほどの金属製パイプを「捨てるのはもったいない」とオブジェ作りに再利用した。
パイプは長短さまざまで、最長180センチほど。真っすぐなもの、曲がったものなどあり、10本を2カ所に分け、芝生の庭に配置した。
河津さんによると、今田町では葉タバコの栽培が盛んだった時期があり、乾燥小屋も点在していたが、今ではほとんど残っていないという。
鉄のオブジェは、家の前を通学する小学生たちにも人気とか。「自由に眺めて、想像をふくらませてもらえたら」と河津さんは話している。
(堀井正純)