丸々と大きく実った山の芋=丹波篠山市倉本
丸々と大きく実った山の芋=丹波篠山市倉本

 晩秋の兵庫県丹波篠山市を代表する特産物「山の芋」が収穫の最盛期を迎えた。手間をかけて栽培された芋たちが丁寧に掘り起こされ、選別など出荷に向けた作業が進められている。(秋山亮太)

 同市農都政策課によると、同市での山の芋栽培は江戸時代初期から続くといわれる。1971年には市域の栽培面積は296ヘクタールを誇った。だが、手作業が多く省力化が難しいことなどから、近年は生産者が減少傾向。今年は市内の約320軒が計15ヘクタールほどで生産しているという。

 JA丹波ささやま山の芋部会の井貝敏夫部会長(72)は今年、地元の同市倉本で12・6アールを栽培。環境に優しい肥料を取り入れるなどしながら、水や温度の管理を丁寧に行ってきた。

 畑では収穫のタイミングを知らせるようにつるが茶褐色に変化し、収穫のためめくり上げられていた。井貝さんはやり状の専用具を畝に差し込み、傷つけないよう慎重に芋を掘り起こしていった。

 例年通り丸々と大きく育ったという。井貝さんは「大変な作業が多いが、『芋の声』に耳を傾け、忍耐強く栽培してきたかいがある実りだ」とにっこり。「来年以降の励みにもなるので、たくさんの方に味わってもらいたい」と話していた。

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 同市やJA丹波ささやまなどでつくる「丹波篠山ブランド産品戦略会議」は、22日から来年2月1日にかけて「山の芋フェア」を開催する。山の芋を使ったメニューを提供する飲食店や芋が買える物産展など39店をリーフレットにまとめて紹介。「とろろご飯セット」などが当たるアンケート抽選も実施する。問い合わせは事務局の丹波篠山市農都政策課農業係TEL079・552・1111