レーザースキャナーで本岡家住宅を測量する東播工業高校の生徒=加古川市東神吉町天下原

 東播工業高校(兵庫県加古川市東神吉町神吉)建築科の3年生が、県指定文化財の本岡家住宅(同町天下原)をレーザースキャナーで計測した。建物にレーザーを照射し、反射する角度や時間により、高精度な3次元点群データ(位置情報などを持つ点を集めたデータ)を収集。市文化財調査研究センターのホームページに、仮想現実(VR)で、同住宅の見学を疑似体験できるページの開設を目指している。(斉藤正志)

 建築科の課題研究の授業で、大歳浩功(ひろのり)教諭(59)が担当する班の8人。昨年の3年生は、旧加古川図書館(同市加古川町木村)を測量し、3Dプリンターで作った模型を、データと共に市に寄贈している。

 本岡家住宅は、江戸時代前期の1694(元禄7)年、現在の同市八幡町下村で、庄屋だった本岡家の住居として建築された大型民家。かやぶき屋根の木造平屋で、同じ形の床の間が二つ並ぶなど珍しい意匠を持っている。1998年に、市が同市東神吉町天下原の「少年自然の家」敷地内に移築、復元した。

 レーザースキャナーは、短時間で正確に測量できる最新鋭の機器。1秒間に最大200万点のデータを収集できるという。

 8人は5月8日~6月12日に計5回、同住宅を訪れて作業。建物の外部だけでなく、内部にもレーザースキャナーを設置し、タブレット端末で操作して計70カ所からレーザーを当てた。

 集めたデータはVRに活用し、見学者が、画面上で建物の内外を自由に行き来できるシステムを目指しているという。

 3年生の茶木(ちゃき)秀伍さん(17)は「かやぶきの建物を初めて見て、内部も涼しくて驚いた。誰もが使いやすく、見やすいVRのページを作りたい」と話した。