力強い竜が彫られた欄間=加古川市加古川町平野
力強い竜が彫られた欄間=加古川市加古川町平野

 境内の至る所に竜がいるのは加古川市加古川町平野の「龍泉寺」。寺号になぞらえ、山門、本玄関、内玄関、本堂と竜にまつわる彫り物やびょうぶがある。

 中でもひときわ目を引くのは本堂の欄間。約3メートルにわたって彫られているのは、たなびく雲を駆ける3頭の竜だ。黒目には金が塗られ、爪を立てて、にらみを利かす。

 同寺は鎌倉時代の1274年、今の場所から北西に2キロほど離れた加古川のそばで、旅僧の観智が開山。寺には、村人を苦しめていた大蛇を観智が撃退したという伝説が残る。大蛇のうろこが竜のものとして寺に伝わり、寺号の由来になったともいわれる。

 1911年の火災で寺は焼失し、現在地に移築。この欄間も当時の作とされる。25年ほど前には、手入れに来た仏具店の店主が竜の白目に血管を描き、目力にすごみが増したという。

 酒見真尚(しんしょう)住職(72)は「目立ちますよね。縁起物なので、新しい年は人々に幸せをもたらしてほしい」とほほ笑む。(児玉芙友)