加古川西高校(加古川市加古川町本町)で5月下旬以降、異変が続いた。敷地内で猫の死骸が相次いで見つかったほか、土が掘られたり、テニスボールや段ボール箱が散らかっていたり…。警察に相談したところ、猫の死骸に事件性はないとの判断だった。それでは「犯人」は何者なのか。カメラを設置したところ、写っていたのは-。
猫の死骸は職員らが見つけた。首がない状態で、事務長の泥健二郎さんが加古川署に相談。獣医師の見立てなどから「人為的ではない」とされた。死骸は何匹か見つかり、場所は校舎の脇やフェンス沿いの植え込みの根元などまちまち。ほかにもテニスボールや野球ボールが転がっていたり、小さな段ボール箱が移動して破かれていたり。玄関前のスロープや運動場などには、毎日のように何かの糞があり、片付けをする必要があった。
市農林水産課に相談し、「犯人」特定のため、カメラを借りて7月2日夜、校内2カ所に設置。すると早速、目を光らせて走るキツネの姿が捉えられた。運動場の脇の真砂土の山では、穴を掘ったり、飛び回ったりする姿が鮮明に映っていた。しかも4匹。何か生き物のようなものをくわえている様子もあった。明るくなった早朝の映像では、その姿が一層よく分かった。
「たぶん動物だろうと思っていたが、まさかキツネだったとは」と泥さん。3年前に赴任した際、敷地内を走る動物を見て「犬じゃない。キツネか?」と思って以降、さっぱり見ていなかったため「まさか4匹もいるなんて」と驚く。ただ、生徒が学校にいる昼間は、校内に現れないという。
市街地に出没するキツネについて、県森林動物研究センター(丹波市)は「加古川が近くを流れており、全然珍しくない」とする。他の自治体では、農作物やゴミを荒らすなど問題になっているケースもあり、同センターは「生ごみやペットのえさを放置しない。キツネが収集しそうなものに網を掛ける」などの自衛策を求めている。(中川 恵)