韓国人被爆者が日本政府に謝罪を求めている。かつて日本が植民地政策をとった結果、戦争に巻き込まれ、原爆被害に遭ったと考えるからだ。健康被害や差別に苦しめられた韓国人被爆者の訴えは、加害の実相に向き合うよう、日本に迫るものでもある。
広島原爆の日を翌日に控えた8月5日、広島市の平和記念公園で韓国人被爆者の慰霊祭が行われた。56回目の今年は約230人が参列し、韓国から訪れた被爆者や韓国政府関係者の姿もあった。
大韓赤十字社によると、広島と長崎では徴用や出稼ぎなどで朝鮮半島から日本へ渡っていた約7万人が被爆。約4万人が死亡したとの推計がある。
大阪産業大の崔誠姫准教授(朝鮮近現代史)は「戦前から出稼ぎで多くの人が朝鮮半島から日本に渡った背景には日本の植民地支配がある」と説明する。
戦時期に入ると多くの朝鮮半島出身者が徴用され、日本で働かされた。「在韓被爆者が抱くわだかまりの解消には、日本の首相が朝鮮半島出身者の原爆犠牲者慰霊碑に定期的に献花するといったアプローチから始めていく必要がある」と提案した。