大企業に勤める会社員ら向けの健康保険組合加入者のうち、2024年度に1カ月の医療費が1千万円以上となった患者は延べ2328人に上った。前年度から約8%(172人)増え、10年連続で過去最多を更新した。難病やがんなどの高額な治療薬の登場が相次いでいることが要因。健保組合の全国組織、健康保険組合連合会(健保連)が13日までに集計した。
健保組合は全国に約1380あり、大企業の社員や家族約2800万人が加入。医療費が高額になると、患者の自己負担は、毎月の支払額に上限を設ける「高額療養費制度」などで数十万円以内に抑えられるが、残りは健保組合が負担する。財政圧迫や、加入者と企業の保険料率の上昇につながる。
1カ月の医療費の最高額は約1億6871万円だった。1億円を超えた4人の患者はいずれも筋力が徐々に衰える難病、脊髄性筋萎縮症の点滴薬「ゾルゲンスマ」を使用した。医薬品の公定価格「薬価」は1億6700万円超。
1カ月の医療費が1千万円以上だった患者は15年度に比べ、24年度は約6・4倍に増えた。