関東大震災の混乱下で憲兵隊に虐殺された女性解放運動家伊藤野枝の子どもたちの生涯を文献やパネルで紹介する企画展が、福岡市総合図書館1階ギャラリーで開かれている。同館の神谷優子特別資料専門員は「社会運動や芸術の分野で活動した人もおり、『野枝さんの子ども』というイメージに収まらない。一人一人の活動や思いを知ってほしい」と話す。

 野枝は現在の福岡市西区今宿の出身で、英語教師だった辻潤との間に2人、同様に虐殺された無政府主義者大杉栄との間に5人の子どもがいた。

 企画展では、大杉と野枝の四女で、博多人形の彩色職人を経て文筆家や社会運動家として活動したルイズ(後に改名)が野枝や祖母を取り上げたエッセーのほか、造船所の組合で働きながら歌作に励んだ三女エマ(同)の短歌、辻と野枝の長男で詩人や画家として活動した辻一の作品など約50点を展示する。

 野枝亡き後、無政府主義者たちの間で子どもがシンボル化された経緯や、それぞれがどう人生を歩んだかも解説している。26日まで、入場無料。