人工知能(AI)を搭載し、障害物や歩行者を避けて自動で道案内してくれる「AIスーツケース」の開発が進んでいる。視覚障害者が街中を自由に移動できる手段として日本科学未来館(東京都江東区)が拠点となって研究を進め、大阪・関西万博で初めて大規模な実証実験をした。将来的に商業施設などでのレンタルサービスに乗り出す構想を描いている。
スーツケースは、幅約24センチ、奥行き約40センチ、重さ約28キロ。中のセンサーやカメラで現在地や障害物を把握できる。スマートフォンの音声などで目的地を設定した後、ハンドルを握ると動き出し、安全な経路を選びながら案内する。AIにルートや周辺状況を質問できるのも特徴だ。
万博会場で10月初旬、全盲の会社員久保田真智子さん(58)=大阪市=が実験に参加し、大屋根リング下の通路を進んだ。行き交う人を避けるためスーツケースが突然止まり、戸惑う場面もあったが「AIが周辺状況を音声で教えてくれ、案内が分かりやすい」と驚いた表情を見せた。

























