農林水産省は25日までに、コメを「需要に応じて生産する」との文言を食糧法に明記する方針を固めた。価格高騰を受け増産を掲げた石破茂前政権とは一線を引き、方針転換が鮮明になる。需給逼迫に備え、民間事業者に備蓄してもらうことを念頭に置いた新たな制度導入も盛り込む。

 来年の通常国会に改正案を提出する。国内人口の減少を踏まえ、輸出の強化を図りつつ過剰な生産を抑える。価格の維持も図る構え。増産方針から方向性が再び大きく変わり「猫の目農政」との批判が強まりそうだ。

 改正案によると、政府が需要に応じた生産を促し、生産者も消費の動向を考慮したコメ作りに努力するとの内容を明確にする。需給見通しに関する情報提供は、国や自治体に「責任がある」とする。

 現行の食糧法は、需給と価格の安定化に向けて「生産調整の円滑な推進を図る」としている。改正案では、最終的な生産量の決定権は農家にあり「実態と違う」としてこの規定を削る。

 コメ不足に備える民間備蓄の新制度では、供給不足の兆候がある場合、事業者に機動的に市場へ放出してもらうようにする。