青い光でライトアップされた八芳園の日本庭園=東京・白金台(提供写真)
 青い光でライトアップされた八芳園の日本庭園=東京・白金台(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【28日(土)】

 ▽「モネ 睡蓮のとき」(~25年2月11日、台東区)

 印象派を代表する画家の一人、クロード・モネ。睡蓮と水、そして光を描き続けた晩年の作品に焦点を当てた企画展が、上野の国立西洋美術館で開催されている。

 パリのマルモッタン・モネ美術館のコレクション約50点に国内所蔵の作品を合わせた64点の名画を展示。睡蓮を描いた作品は、日本で過去最多となる20点以上を紹介する。

 モネの創作の源泉となったのは、ノルマンディー地方ジヴェルニーの自宅の庭に造成された睡蓮の池と周辺の自然を反映する水面だ。睡蓮を初めて描いたのは1897年、57歳のとき。86歳で世を去るまでに300を超える作品をこの庭や池の周辺で生み出した。

 会場には、睡蓮の連作大装飾画の展示で知られるオランジュリー美術館(パリ)の楕円形の部屋を再現した。同じモチーフを異なる時間帯や天候で繰り返し描く画家の挑戦、構図による創造の広がりと多様性を発見できる空間となっている。

 モネはなぜ睡蓮を描き続けたのか? 研究員の山枡あおいさんは「生涯追求した“水と光”を表現するためのモチーフとなった。木々、雲、空を反映させながら、とらえ難い自然を描き出すことを可能にした」と言う。

 幅4メートルある西洋美術館所蔵の「睡蓮、柳の反映」は第2次世界大戦後に所在不明となり、上部が欠損した状態で2016年にルーブル美術館で発見された。マルモッタン所蔵の同じ主題の2点との比較展示は初めてとなる。「共通点を探しながら、欠損した柳の表現を想像してもらえる貴重な機会になるだろう」

 80歳以降、白内障の症状が悪化しても創作欲を失うことはなかった。「第1次大戦が勃発し、妻や子どもの死に遭うなど困難な晩年だった。その中でも人々を癒やす絵画の力を信じ、平和への思いを睡蓮の大作に託した情熱を感じてほしい」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【28日(土)】

 ▽「和菓子とお茶を提供する『九九九(くくく)』」(事前予約制、通年営業、港区)

 日本の伝統文化「和菓子」と「お茶」のコースを提供する菓子司が、このほど六本木にオープンした。

 店内には平穏な空気が漂い、カウンターに備え付けの茶釜と炭火焼き器が印象的だ。厳選した茶葉でいれたお茶9種と、その場で仕上げた和菓子8種が月替わりで提供される。1月は「慶賀光春。後の寒」をテーマに、寒さが増す季節を表した新年のコースが楽しめる。

 レストランプロデューサーの見冨右衛門さんは「茶の湯文化を大成した千利休の革新的な精神に共鳴し、その哲学が随所に感じられるような店を目指した」と言う。

 和菓子職人の藤田凱斗さんによる菓子作りの技術と創造性も企画を実現させる要因となった。「できたての和菓子の素晴らしさはあまり知られていない。茶の生産者たちとの出会いも、お茶の価値を高めたいとの思いを強めてくれた」と語る。

 利休のわび茶にかなう茶わんを創作した初代長次郎をはじめ、楽家代々による四つの器も展示されている。「安土桃山時代から現代まで約400年の歴史がこの場で感じられる。伝統を斬新な発想で継承させる精神を、肩肘張らずに味わってほしい」

 ▽「ひかりの実 2024」(~25年1月8日、港区) 

 新橋と虎ノ門ヒルズを結ぶ全長1・4キロの「新虎通り」で、イルミネーションイベントが開かれている。

 イルミネーションは、美術家の高橋匡太さんが「人々に笑顔を」との思いで考案した。光をともした通り沿いの15本の樹木に、虎ノ門地域の小学校や保育園の児童たち、住民や会社員らが「笑顔」を描いた1500個の果実袋を飾った。柔らかな光が幻想的な空間をつくりだしている。

 高橋さんは「1500人の物語が集まった。出来上がった夜景の美しさだけではなく、その制作のプロセスにも注目してほしい」と話す。地域の人々の“あたたかな気持ち”を共有したい。

 【6日(月)】

 ▽「TOKYO BLUE GARDEN 2024-2025」(~25年1月31日、入場無料、12月28日~1月5日は年末年始休業)

 伝統的な日本庭園を舞台にしたライトアップイベントが、白金台の八芳園で行われている。

 江戸時代から約400年の歴史を持ち、大正時代に実業家・久原房之助によって現在の庭園の形が築かれた。取締役総支配人の関本敬祐さんは「樹、石、水、土の配置によって自然のあるがままの姿が表現されている場所だ」と話す。

 「蒼の幻想」をテーマに青い光のグラデーションで園内を演出。「紺碧の空を思わせる深いブルーから神秘的なライトブルーまでを表現し、非日常の世界を創り上げた」

 庭園の滝前には「GARDEN BAR」が登場、オリジナルのカクテルやソフトドリンクが楽しめる。館内のレストラン「スラッシュカフェ」では、各地の生産者から得た食材や旬の素材を使った料理を提供している。

 同園は2025年2月1日から9月30日まで、全面改装工事のために休館する。関本さんは「『日本の、美意識の凝縮』をコンセプトに掲げ、伝統の継承と創造を行う。改装後もイノベーティブなサービスを提供していきたい」と述べた。