ストラスベリーの「モザイクバッグ」(提供写真)
 ストラスベリーの「モザイクバッグ」(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【6日(土)】

 ▽「松屋銀座で出合う地域共創のデザイン」(~26年2月28日、中央区)

 ことし開店から100周年を迎えた松屋銀座で、地域の伝統工芸品の魅力をより身近に感じられる取り組みが行われている。

 銀座で最も古い百貨店として、長年にわたり国内外の優れたデザインの商品を発信してきた。各地の職人が現代的にリデザインした伝統工芸品などを紹介。7階の「おりふし ギフトラウンジ」で展示・販売され、アート作品を鑑賞する感覚で楽しめる。

 岩手県奥州市の鋳鉄作家、岩清水久生さんによる南部鉄器の急須「Egg」は人気商品の一つ。ゴールドが基調の繊細な色表現、美しいフォルムと質感で、伝統とモダンの融合を感じさせる。

 2020年以降は「地域共創」という取り組みを推進している。中でも、青森県黒石市の伝統工芸品、津軽こけしにグラフィックデザイナーの佐藤卓さんが新しいデザインとポップな色彩を施した「ルビンのこけし」はヒット作だ。100周年に合わせ、12、13両日には松屋銀座限定で新バージョンが登場する。

 10月2日~11月3日は、テキスタイルデザイナー須藤玲子さんが制作した扇が、高さ約25メートルの吹き抜けに登場。全国の各地域を代表する布地や和紙を使ったインスタレーションだ。

 モダンなリデザインによって価格が上がると、お客は離れてしまうのでは…。当初は作り手側にそんな心配もあったというが、高い技術力と新しいブランドイメージを打ち出した商品は評判を呼んだ。利益を地元に還元し、地方の有名百貨店での商品展開も始まった。

 地域共創統括責任者の柴田亨一郎さんは「松屋は伝統工芸に新たな息吹をもたらすデザイン力とコンセプトを歴史の中で培ってきた。職人との共同制作にも取り組んでいる。次の100年を見据え、地方の活性化にさらに貢献してゆきたい」と話した。

 ○そのほかのお薦めイベント

 【6日(土)】

 ▽「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」(~7日、中央区)

 北欧デザインを代表するスウェーデンの陶芸家でデザイナーのスティグ・リンドベリの回顧展が、日本橋高島屋本館で開催されている。

 1930年代後半の活動初期から80年代初頭までの作品約300点を展示。食器やテーブルウエア、一点物の☆(火ヘンに石)器(せっき)、テキスタイル作品など、多岐にわたるデザインを紹介する。

 ストックホルムの陶磁器メーカー「グスタフスベリ社」から60年に発表した食器シリーズ「ベルサ」は、シラカバの葉のモチーフを施した代表作。同国の美術史家マリーカ・ブーグレーンさんは「その時代に大衆の消費行動が変化し、皿やカップのシリーズを予算に応じて一つ一つ買い足していく習慣が生まれた。大胆な緑の葉模様がコレクションする喜びを人々に与えた」と説明する。

 大量生産のかたわら、彫像などでアーティストとしての才能も発揮。動物をかたどった「大きな馬」などの☆(火ヘンに石)器は、かわいらしさと革新性に満ちている。日本の芸術からアイデアを得たティーポットや大皿も。59年に来日し、前衛陶芸家・八木一夫や民藝作家の作品に影響を受けたという。

 「機能性と美を追求したデザインと、独創的な色彩感覚でモダンな北欧デザインの礎を築いた。明るさにあふれた作品を通して、彼の挑戦心と好奇心を感じてほしい」

 10~21日、大阪高島屋でも開催。

 ▽「カフェ・アアルト 丸の内にオープン」(通年営業、千代田区)

 ヘルシンキで人気の「カフェ・アアルト」が、新丸ビルに東京初となる店舗をスタートした。

 北欧建築の巨匠アルヴァ・アアルトの世界観を店内で表現。アアルトが手がけた黒レザーと真ちゅうフレームの椅子が目を引く。フィンランドのテーブルウエアブランド「イッタラ」のタンブラーや、デザイナーのカイ・フランクによる食器シリーズで飲食を提供する。

 メニューはフィンランドの伝統的カフェメニューを中心に展開。「ノルディックサーモンのコールドサンド」や野生のブルーベリーを使ったタルトなどを用意する。

 シンプルで豊かな暮らしのヒントを得ながら、フィンランドの食文化に出合えるだろう。

 ▽「スコットランドのブランド『ストラスベリー』が国内初登場」(~16日、中央区)

 英国のキャサリン皇太子妃も愛用するスコットランド発のバッグブランド「ストラスベリー」が、銀座三越でポップアップストアを展開している。

 注目は、キャサリン妃が公務で使っている「モザイクバッグ」。洗練されたデザインと機能性を併せ持ち、ブランドのアイコンの一つだ。

 コンパクトで収納力に優れた「ミニ トート」や、端正なたたずまいの「ジョージア ミディ」バッグなど、丁寧に仕立てられたアイテムが勢ぞろい。

 商品はスペインの工房で熟練の職人たちによって丁寧に作られる。優れたクラフトマンシップとスコットランドの精神を融合したデザインに触れてみたい。