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 国民体育大会から名称変更した国民スポーツ大会(国スポ)の在り方を巡り、議論が活発化している。

 見直し論議は4月、全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事が「廃止も一つの考え方ではないか。非常に財政的な負担は大きい」と述べたのが発端だった。

 巨額の開催経費や運営のための人手不足などが長年の課題となっており、多くの知事からも同調する発言が相次いだ。8月には全国知事会が大会の簡素化などを国などに要請した。

 国体は終戦翌年の1946年から始まった。日本スポーツ協会、文部科学省、開催地の共催で、都道府県の持ち回りで開催されてきた。閉幕後には全国障害者スポーツ大会もある。

 2006年に開かれた「のじぎく兵庫国体」は阪神・淡路大震災の被災地から復興支援への感謝を伝える機会となった。今年は佐賀県が開催地だが、馬術は三木市で催されている。

 戦後の復興や高度経済成長の時代には、大会を機に体育館などの競技施設や道路の整備が進む意義があった。男女総合優勝(天皇杯獲得)に向けた選手強化など、競技力の底上げに果たした役割も大きい。国を挙げてスポーツの普及を図る国体の目的は達成したと言える。

 大会の在り方を問う声が強まった背景には、36年から開催地が3巡目に入ることがある。

 競技面では、開催地が総合優勝するために県外から有力選手を集める問題点が指摘される。国際大会をはじめ、各競技の全日本選手権、全国高校総体など多様な大会が開かれ、選手にとって国体が必ずしも目標とする大会ではなくなっている。「国内最大・最高の総合スポーツ大会」との位置付けに無理が生じてきているのではないか。

 日本スポーツ協会は有識者会議を設け、開催意義から再検討する議論を始めた。来年3月まで会合を開き、見解をまとめる。委員に実施したアンケートでは隔年開催や複数府県での広域開催、全国高校総体との統合などの案が出ているという。

 持続可能な大会とするには時代に合った改革が不可欠だ。スポーツ関係者以外の意見にも耳を傾け、柔軟な発想と視点であるべき姿を追求してほしい。