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 政治分野の女性参画の遅れが指摘される中、今回の衆院選は立候補者1344人のうち女性が314人と過去最多になった。前回の186人から大幅に増え、全候補者に占める割合も前回を5・7ポイント上回る23・4%となった。兵庫県内12選挙区の女性候補も13人と現行の選挙制度になって最も多く、比率も23・2%と最も高かった。

 それでも女性は全体の4分の1に満たない。多様性を重視した政策立案を可能にするため、各党は女性議員の増加に真剣に取り組まねばならない。

 主な政党別では共産党の88人が最多で、候補者の女性比率は37・3%だった。自民党は342人中55人で16・1%、公明党は50人中8人で16・0%だった。立憲民主党は237人中53人で22・4%、日本維新の会は164人中29人で17・7%。

 女性候補者数が増えた一因は、自民と立民が擁立に積極的だったためだ。ただ自民は裏金事件を受け、政治資金収支報告書に不記載があった議員に比例との重複立候補を認めなかったため、比例単独候補に女性や若者を充てた背景がある。

 2018年に成立した「政治分野の男女共同参画推進法」は、候補者をできる限り男女同数にするよう努力義務を課す。だが特に与党は目標にほど遠く、本気度が疑われる。各党は候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」導入も検討するべきだ。

 「政治は男の領域」という無意識の偏見や「前職に男性が多く、すぐに女性を増やせない」といった現状追認の考え方は根強い。永田町の論理が染みついたベテラン議員や世襲の候補者が多数を占める状況を変えなければ、政治の刷新は期待できないだろう。

 世界経済フォーラムが発表した今年のジェンダー・ギャップ指数で日本は146カ国中118位だった。衆院議員の女性比率が約10%にとどまる政治分野は113位と低迷する。石破茂内閣の女性閣僚は2人だけだ。

 むろん、女性議員は一朝一夕には増えない。地方議会も含めて、人材を発掘し当選させる持続的な育成システムが求められる。