不登校の児童生徒が増え続けている。誰ひとり取り残すことのないように子どもの学びを保障する手だてを充実させる必要がある。
文部科学省の調査によると、国公私立の小中学校で2024年度に30日以上欠席した児童生徒は12年連続で増加し、過去最多の35万3970人だった。兵庫県内の公立学校では1万6634人で前年度より503人減ったものの、20年度と比べると1・6倍になった。
「無理に登校しなくてもよい」といった保護者らの意識変化が増加の背景にあると文科省は見ている。なぜそうした意識が広がっているのかに目を向けることが重要だ。
いじめについても併せて調査しており、24年度のいじめの認知件数は、小中学校、高校、特別支援学校で過去最悪の76万9022件に上った。このうち、心身に大きな被害を受けたり長期欠席が生じたりした「重大事態」は1405件と、こちらも最多となった。
今の学校現場が多様化する子どもたちに十分に対応しきれず、皆が安心して学べる場所になっていないのではないか。不登校といじめの増加は、そうした問いかけと言える。
国や自治体は不登校の児童生徒への支援を広げつつある。兵庫県教育委員会は、教室で過ごすことが難しい生徒が自習などをする「校内サポートルーム」の整備を小中学校で進めている。25年度には市町を通してフリースクールの利用料を助成する県独自の事業を始め、尼崎や姫路など11市町が導入した。
神戸市は4月、「みらいポート」と名づけた学びの多様化学校(不登校特例校)を中央区に開校した。近隣中学の分校と位置付け、特別のカリキュラムで少人数による授業を行っている。現在、1~3年41人が市内全域から通う。
多様な選択肢を用意することは重要だ。併せて、学校がケアや助けを必要とする子どもに早く気づき、養護教諭やスクールカウンセラーらと連携して組織的な対応ができる態勢づくりが欠かせない。
文科省によると、不登校の児童生徒の約4割に当たる13万5724人は、学校内外で養護教諭や医療機関などの専門的な支援を受けていなかった。また、いじめの「重大事態」のうち1割超はトラブル情報があったのに学校が初動を誤り、被害が深刻になっていた。
子どもたちに教員がしっかり向き合えるように、学校業務の見直しや専門的な研修が求められる。各学校は、授業や生徒指導が画一的になっていないか、時代にそぐわない不条理な校則が残っていないか-などを点検してもらいたい。
























