衆院選は8日の投開票日まで1週間を切った。今回、高市早苗首相が国民に信を問うとしたのが「責任ある積極財政」である。これまでの政権の「行き過ぎた緊縮財政」を改め、積極的な財政出動で景気を上昇させ税収を増やす「強い経済」の実現を訴えている。
政府予算はここ数年、100兆円台で推移する。税収をはるかに上回る額の予算を組み、借金で帳尻を合わせる繰り返しで国債の残高は1千兆円を優に超える。その利払い費を賄うため、さらに新たな国債を発行する悪循環にも陥った。
これを「緊縮」と認識しているようでは、首相の考える積極財政はさらなる「ばらまき」になりかねない。積み上がった国債はいずれ返さねばならず、予算を圧迫する。各党や候補者の主張を見極めたい。
歴代政権は、毎年の税収と政策支出の差し引きが黒字となる「基礎的財政収支の黒字化」を財政目標に掲げてきた。しかし首相は複数年で確認する方針に転じた。さらに、債務残高の対国内総生産(GDP)比を引き下げることで「財政の持続可能性を実現する」とし、危機管理投資や17の戦略分野への投資を公約に掲げた。連立政権を組む日本維新の会も食糧確保のための大型投資などを主張する。
一方、野党の中道改革連合は科学技術予算の倍増や、国家プロジェクトによる最先端技術の実用化などの公約を示す。国民民主党はデジタルなど「未来への投資」、参政党は減税と積極財政によるGDPの大幅増、れいわ新選組も政府支出の拡大で需要喚起を唱える。
財政出動で経済を勢いづかせようとの考え方は与野党に共通するが、自律的な成長をどう実現させるか具体的な戦略は乏しい。巨額の借金を抱える日本の財政に求められるのは投資の旗を増やすことより、国費を効果的に活用する手だてを探ることだ。血税がどう使われているか、有権者も関心を深める必要がある。
今回の衆院選では、与野党がそろって消費税減税を公約に掲げる。ところが減税を「悲願」とまで形容した首相が、街頭演説などで言及しなくなった点には首をかしげる。
神戸新聞社が実施した兵庫県内の立候補者へのアンケートでも、消費減税の在り方について与党の1人が「現在の税率維持」を、2人が「回答しない」を選んだ。与党内も一枚岩ではない状況がうかがえる。
今後の財政を左右する重要な問題だ。投票行動に影響を与えるだけでなく、巨額の国債も相まって市場からも政策運営への不信を招きかねない。首相はいま一度、減税に対する見解を明確に示さねばならない。























