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 衆院選を受けた特別国会で高市早苗自民党総裁が首相に指名され、日本維新の会との連立政権による第2次高市内閣が発足した。

 通常国会冒頭の解散から約1カ月。政権の枠組みも、閣僚の顔ぶれも変わらず、何のための解散だったのかと改めて問わずにいられない。

 一変したのは国会の風景だ。首相が仕掛けた「奇襲」が成功し、衆院選で自民は単独で3分の2超を獲得する一方、野党勢力はばらばらのまま小さくなった。首相が挑むという「国論を二分する政策」へのハードルは一気に下がった。

 衆院選で首相が訴えた「責任ある積極財政」だけではない。多くを語らなかった2年限定の飲食料品消費税率ゼロ、防衛力の増強、インテリジェンス(情報活動)強化に向けた国家情報会議の創設やスパイ防止法制定など、国民の暮らしと人権に関わる政策がめじろ押しだ。衆院では憲法改正発議の要件もクリアした。

 独断専行で進めれば国民は分断され、平和国家の姿も変容する。首相は数の力におごらず、丁寧な説明と少数意見にも耳を傾ける謙虚な姿勢で政権運営に臨まねばならない。

 本来は内閣の監視役となる国会の人事も「高市色」が強まった。少数与党だった昨年の臨時国会は予算委員会をはじめ主要な委員長ポストを野党が握り、首相が議事進行に不満をあらわにする場面があった。日中関係を悪化させた「台湾有事答弁」が飛び出したのも予算委で立憲民主党の追及を受けた時だ。与党が提出した衆院議員の定数削減法案は、野党の反対で審議入りできなかった。

 国会運営へのいらだちが、首相の解散判断の一因だったのは間違いない。今国会で自民は大半の委員長ポストを取り返し、予算案や旧姓の通称使用法制化など肝いりの法案を仕切る各委員長に側近を起用した。

 最優先課題は、衆院解散で審議入りが遅れた2026年度予算案の成立である。首相は年度内の成立も諦めていないとされ、そのために審議時間の短縮を検討しているという。

 だが国会は首相の意のままに法案を通す場ではない。国民の負託を受けた国会議員が審議を通じて政策の是非を明らかにし、合意形成を図る場である。政権側の都合で議論を省いたり、異論を排除したりするのは国会軽視にほかならない。

 野党は最多の中道改革連合でも50議席に満たず、内閣不信任決議案の提出もままならない。政権監視を果たすには、国会論戦で会派を超えた野党連携も必要ではないか。

 巨大化した自民は多様な民意を反映できるのか。首相の言いなりでなく、少数政党の発言機会も確保して公正な国会運営を心がけるべきだ。