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 米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発し、中東諸国も巻き込んで1カ月以上続く戦闘を巡り、米とイランは2週間の即時停戦に合意した。イスラエルも攻撃停止に同意した。封鎖状態だったエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡について、イランは停戦期間中に軍の調整下で通航可能にする意向を示した。

 合意直前までトランプ米大統領は「海峡を開放しなければ文明を消滅させる」などと交流サイト(SNS)で脅し、イラン側も徹底抗戦を表明していた。攻撃のエスカレーションがひとまず回避されたのは歓迎したいが、まだ火種は残る。国際社会は団結し、恒久的な戦闘終結を促さねばならない。

 イランは停戦条件案として、経済制裁解除や中東からの米軍撤退など10項目を示した。これを基に仲介国パキスタンで10日から最大15日間、協議する見通しだ。しかし双方が「戦闘に勝利した」と主張する中、合意に至るかは見通せない。最大限の歩み寄りを求めたい。

 紛糾が予想されるのは、イランによるウラン濃縮活動を認める項目だ。米国などは核兵器の開発阻止へ放棄を求め、今回の攻撃の理由に挙げていた。

 核の平和利用は各国に認められた権利だが、兵器転用のリスクは避けねばならない。国際原子力機関(IAEA)の監視強化などの歯止めが不可欠だ。

 石油を中東に依存する日本にとって看過できないのは、イランがホルムズ海峡を管理するとの項目だ。通航料徴収が狙いとされるが、各国が自由に航行する水域であり理不尽極まりない。米国が攻撃すれば、戦力に劣るイランは対抗策として海峡を封鎖する展開は十分予測できた。米国が責任を持ち全面開放を実現させるべきだ。

 イラン側は賠償金も求めたとされる。国際法に反する攻撃で生じた被害に対し、仕掛けた側が対応するのは当然だ。

 高市早苗首相はきのう、イラン大統領と電話会談し事態の早期沈静化が重要と伝えた。日本は米の同盟国でイランとも伝統的に友好関係を持つが、これまで存在感を発揮できず、外交力が問われる。双方に和平を働きかけ、戦後復興などの得意分野で大いに貢献したい。