自民党、日本維新の会の連立与党が、衆院議員の定数を削減するための法案を共同提出した。与野党の選挙制度協議会で議論し、法施行から1年以内に結論が出なければ比例代表45議席を自動的に削減する内容だ。与党は今国会中の成立を目指すが、民主主義の根幹を成す選挙制度の見直しを「数の力」で押し切ることは許されない。
定数の1割削減は昨秋、自民、維新の連立合意で唐突に浮上した。企業・団体献金の禁止に消極的な自民に対し、「身を切る改革」の「センターピン」として維新が要求した。「政治とカネ」を巡る問題から論点をすり替える狙いが明らかだった。
与党は昨年12月の臨時国会に定数削減法案を出した。与野党協議が1年たってもまとまらない場合は小選挙区25、比例代表20を自動的に削減するという乱暴な内容だった。野党の反対で審議入りすらできず、今年1月の衆院解散で廃案となった。
そもそも削減の必要性や「1割」の根拠について、いまだに合理的な説明はないままだ。国民1人当たりの日本の国会議員数は欧州などの主要国と比べても多くはない。本来はあるべき選挙制度の議論を経て、望ましい定数を導くのが筋だろう。
さらに今回、なぜ比例代表だけの削減とするのか。背景にあるのは党利党略だ。自民は2月の衆院選で大勝し、小選挙区の9割近い議席を占有する。小選挙区の定数を減らせば区割りの大幅な変更が必要となり、候補者調整が難航するとの事情が見え隠れする。極めて恣意(しい)的な「改革」と言える。
小選挙区は大政党に有利で、落選候補に投じられた「死に票」が多い欠点がある。それを補う比例の大幅削減は中小政党への打撃が大きく、多様な声をくみ取る機能を損なう。前回衆院選を基にした試算では比例45削減の場合、自民の議席減少率は中道改革連合や国民民主党より小さく、野党の反発は当然と言える。国会の形骸化につながりかねない定数削減法案は撤回するべきだ。
「比例のみ削減」は維新のかねての主張で、高市早苗首相が自民に指示し方向転換させた。連立維持を優先したのだろうが、行政府の長が立法府の構成を巡る議論を先導する行為は、三権分立の原則にもとるものだ。党総裁と同時に首相の立場にもあることを踏まえ、抑制的な行動が求められる。
現在の選挙制度が小選挙区制の在り方や1票の格差是正などの課題を抱えているのも確かだ。定数削減ありきではなく、民意をより正しく映すための抜本改革を党派を超えて協議することが重要となる。第三者機関の設置も検討する必要がある。
























